半身不随の弁護士&小説家が社会人生活を再開!「母の死、ママ、ドント、ゴー」vol.6

42歳、半身不随の弁護士&小説家がいよいよ社会人生活を再開する!

車椅子には「LOCK’n’ROLL」

弁護士であり、小説家としても活躍する法坂一広さんは、脳出血で倒れて半身不随となってしまう。

退院後、社会復帰を果たした法坂さんを待ち受けていたのは・・・

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病床ROCK尺

車椅子には「LOCK’n’ROLL」

 

vol.6/母の死、ママ、ドント、ゴー

言わずと知れたロックの神様ジョン・レノンは名曲「マザー」の中で、生き別れになった母親に「母さん、行かないで」と切々と歌いかけました。僕も厳しかった母とは小さい頃からいろいろと葛藤がありました。書き始めたら、それだけで一冊書けるくらいです。その母が悪性リンパ腫と診断されたのは僕が病気する約1年前。それから手術や抗がん剤治療で入退院を繰り返し、僕が命の危機というのに病院には一度も来られない状態でした。せっかく立派に育てた息子のやばい姿なんて見たくはなかったのかもしれません。

僕が退院してしばらくして、いよいよ母の容体が悪くなりホスピスへ。僕の方は何とか杖だけで歩いて面会に行ってあげられるようになっていました。それまで母もがんばったんでしょう。亡くなって葬儀会場に行く前に一度自宅に連れて帰り、せっかくだからコーヒーを淹れてあげることに。台所でコーヒー淹れていたら、「いつも母ちゃんと台所に立ってたなぁ」なんて思い出が蘇ってくるのです。ウチは共働きで母の帰りが遅く、いつも夕食の準備を手伝わされていました。母との時間というと、台所にいたことかも。僕、男の子なんですけどね。

葬儀も終わって、ちゃんと骨を拾い、一つ気になることが。僕の頭蓋骨は開頭手術したときに大きな穴を開けているはずなんですが、これって、火葬場で焼き上がったときにはどんな感じになるんでしょうねえ。妙なことが気になって仕方ないのでした。

母が亡くなったのは6月6日、僕の願いはこうでした。「母さん行かないで、あと3日だけ待ってよ。そうしたらこの原稿もきれいにオチが付くのに」。厳しかった母の答えはこうかな。「わたしの話がそんな安直なオチで許されるとでも思ったか、このばかちんが」。こうなると「今も聞こえるあのおふくろの声」と武田鉄矢さんですね。6日だけにロックじゃないな。

 

Profile

法坂一広(ほうさか いっこう)

福岡市在住の弁護士、小説家。2011年に第10回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞を受賞し、弁護士探偵物語シリーズを執筆。2015年に脳出血で倒れ、翌16年に仕事を本格的に再開。「もう乗らない」と車椅子をLOCKして(鍵をかけて)、マラソン大会復帰を目指す。最新作は「ダーティ・ワーク」(幻冬舎文庫、2015年)、西日本新聞社「のぼろ」で連載中。

 

※情報は2017.6.22時点のものです

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