半身不随の弁護士&小説家が社会人生活を再開!「トイレの神様 世界を売った男」vol.8

42歳、半身不随の弁護士&小説家がいよいよ社会人生活を再開する!

車椅子には「LOCK’n’ROLL」

弁護士であり、小説家としても活躍する法坂一広さんは、脳出血で倒れて半身不随となってしまう。

退院後、社会復帰を果たした法坂さんを待ち受けていたのは・・・

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病床ROCK尺

車椅子には「LOCK’n’ROLL」

 

vol.8/トイレの神様 世界を売った男

こういう足の状態になると、日々の排泄が大問題になってしまいます。トイレまでの移動、中での立ち座り、あと、トイレットペーパーを片手で破るのが意外と大変なんです。世の中にはシングルだのダブルだのこだわりはあるようですが、ミシン目にこだわりたい。それに温水洗浄機能の微妙な位置の調整も難しいですね。シャツまで全部水浸しなんてことをやらかしたこともありました。1人でトイレに行けるようになった日には祝杯をあげましたね。もちろんコーラで。

入院中に同室だった方が先に退院したのですが、トイレで転倒し骨折して再入院、ということもありました。僕は退院当初は介護保険を利用して手すりをレンタルし自宅では安全を確保。外では公共施設の多目的トイレでできる限り済ませます。いまだに和式でしゃがんでというのは難しそうですからね。出かけた時はとにかく、トイレの場所を確認、です。

しばらくして、介護保険の認定を返上して手すりを返却することになりました。とりあえずそのころには、小の方は立ったままで大丈夫というくらいにはなっていたのですが、トイレの神様ならぬ、ウチの山の神より、「飛び散り汚れが気になるから座って用を足すように」との無情の指示。

手すりがなくなって、立ち座りは大変なんです。こうなったら「トイレには~」って歌っちゃいますか。「まだ掃除はできそうにないので、トイレはきれいに使いますから、歩けるようにしてください」なんてね。べっぴんさんなトイレの女神さまには管轄外かな。

でも、デビッド・ボウイくらい美しくなれたらスカートをはいて、トイレも少し楽になるかもしれないけれど、そのくらいのお願いだったら聞いてもらえるかな。ボウイが歌っていた「世界を売った男」になれれば、その代金で手すりくらい付けるんだけど。

 

Profile

法坂一広(ほうさか いっこう)

福岡市在住の弁護士、小説家。2011年に第10回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞を受賞し、弁護士探偵物語シリーズを執筆。2015年に脳出血で倒れ、翌16年に仕事を本格的に再開。「もう乗らない」と車椅子をLOCKして(鍵をかけて)、マラソン大会復帰を目指す。最新作は「ダーティ・ワーク」(幻冬舎文庫、2015年)、西日本新聞社「のぼろ」で連載中。

 

※情報は2017.7.27時点のものです

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