【久保 巴】「なるにまかせて」官兵衛 辞世の句は全て水のごとし、と

おもひおく言の葉なくてついに行く道はまよわじなるにまかせて  黒田如水

テレビドラマのおかげで、熱くなっている黒田官兵衛。彼が出家後に使っていた名前が「如水」。この歌は、死期を悟った際の辞世の句とされている。

不遇の天才武将に無欲な人、ひそかに天下を狙っていたとか。たくさんの逸話を抱えながら、自身の号を「全ては水の泡の如し」からとったとされる彼は、最後に「なるにまかせて」と詠んだ。その心はどんなものだったのか。

病気で寝たきりだった母が遺してくれた手紙の言葉を、今さらながら思い出す。

「貴女は回り道ばかりしてきましたね。でも、それも良いと思います」

私はいつも優柔不断で、迷ってばかりいた。人の意見に流されて、自分で決めることができなかった。うまくいけば自分の手柄で、うまくいかなければ人のせい。そんな自分を否定し、激しく自己嫌悪に陥っていた。だけど、そんな自分でも、どれほど周囲の人たちから愛されてきたことか。長い回り道だったけれど、その回り道は何一つ無駄ではなく、すべて「今」につながっている。母はそんな私の人生に「それも良いと思う」と、寄り添ってくれていたのだ。

回り道をしたから出会えた仲間もいる。道は「今」につながっている。

回り道をしたから出会えた仲間もいる。道は「今」につながっている。

さまざまな出来事や感情が泡のように現れては消える。それでも水は変わらず、たどり着く先を目指して流れている。水のように私たちも進むべき方向に向かっている。どんな道のりであろうと、なるにまかせて。死を前にした如水が向き合ったのは、そんな心だったのかもしれない。

たまゆらを繋げて時と呼ぶならば今吹く風も身をくすぐるかな

                                       久保巴

from西日本新聞「わたし活性化計画」面

※情報は2014.6.21時点のものです

久保 巴

1982年生まれ。山口県出身。元介護士。古典、歴史好きが高じて趣味で短歌を詠む。全くの我流。ウェブサイトFan Fun Fukuokaでも、短歌を詠みながらコラム掲載中。返歌とか来たらどうしようかとワクワクしている。

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