日本映画『ある精肉店のはなし』 生の本質を見続けてきた家族の記録 / 銀幕ヨーコ

ボンジュール!銀幕ヨーコです。

 

今回は、今年前半で最も衝撃を受けた日本映画「ある精肉店のはなし」(2013制作)をご紹介します。

予告篇動画はこちら↓

自ら丹念に育てた牛を屠畜し、解体して販売している関西のある精肉店の日常の営みを描いているドキュメンタリー映画です。

姉、兄弟とその妻、4人が黙々と丁寧に解体作業をしている場面を淡々と映し出しているので途中、眠くなりそうなのですが、作業をする真摯な姿にどんどん引き込まれていきます。観終わったときに思わず、口先で切り身を焼き肉やステーキで“うまい!”と食べているわたしが単純に恥ずかしい!と思ってしまいました。

 

生き物の命をいただき私たちが生きていることの感謝の気持ちが、この家族の仕事ぶりから自然と湧いてくるのです。狩猟民族は、獲った生き物に敬意を表し、解体しても捨てる部位がないほど肉や皮を活用するといいます。この家族のひとりも、仕事の合間になめした革でだんじり太鼓をつくり、趣味の伝統芸に活かします。

 

厳しい仕事の後の子どもや孫を含めた家族総出の賑やかな食事では、みんなとことん明るく、陽気なんです。何代にもわたり、被差別部落出身者としてつらい思い重ねてきたはずなのに、微塵もその陰を見せない彼らの強い絆と凛とした生き様は、実にかっこいいのです!

 

どんな饒舌な語りより真摯な人間の生き方そのものが何ものにもまして説得力をもって心に響いてくることをこのドキュメンタリー映画は教えてくれます。

 

監督は、纐纈(はなぶさ)あや。原発事故前の2010年に「祝(ほうり)の島」という28年間原発建設に反対している瀬戸内海に浮かぶ小島の島民を追ったドキュメンタリー映画も制作されています。

監督のインタビュー(制作のきっかけ、裏話)の動画はこちら↓

この映画には登場しませんが、監督曰く、この映画の主役は先代である彼らの父親だそうです。

理不尽な差別にもかかわらず、必ず約束を守るという信念によって、地域の人たちの信頼を得てきた父親の生き様を彼らが受け継いでいるのです。

この女性監督は魅力的!

 

See you next!

次回は7月17日にお会いしましょう☆

※情報は2014.6.19時点のものです

銀幕ヨーコ

趣味は映画、美術、音楽鑑賞、旅行、読書、さらには空手。

映画は邦画、洋画、ジャンルを問わずなんでんかんでん観ていた時代を経て(オカルト系は苦手)、やっぱりヨーロッパ映画が一番好き。でも韓国映画もいい、中国、台湾、いやインド、イラン映画も捨てがたいな。そうやって私の好きな作品を選別していくと、実は世界の名監督たちが日本の小津安二郎監督作品に強く影響されているという共通点があったんです。これから小津作品に影響力受けた各国の名画を中心においおいご紹介したいと思います。

よろしく!

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