感動するほど美しい!ボードゲームの芸術的世界

こんにちは。ツムラクリエイションの津村修二です。

今回は私がデザインとして美しいと感じるボードゲームを紹介します。

●バウハウス チェス  -Bauhaus Chess-

最初に紹介するのは、1923年にバウハウスの彫刻家ヨーゼフ・ハートヴィック氏がデザインしたチェスセットです。一般的なチェスセットと趣が違っています。駒の造形が立方体や球体など、非常にシンプルで削ぎ落とされた印象を与えるデザイン。

1919年ドイツ・ワイマールで創設された世界初の総合的造形学校バウハウスは、装飾性よりも機能性を重視するモダンデザインの考えを持っていましたが、これらの駒はその理念を反映するかのように駒の動きが象徴される形でシンボリックに表現されています。例えば、斜めのみに動くビショップは「×」、縦・横・斜めどの方向にも自由に動けるクイーンは「○」。つまり、駒の動きを可視化したわけです。それは機能としての価値やユーザビリティを高めただけでなく、洗練されたミニマムな美しさを作り出すことにも成功しています。

現在、販売されているものは木製玩具メーカーの最高峰スイスのネフ社が、ベルリンにあるバウハウス資料館からの依頼を受けて1981年に復刻したもの。カエデ材で作られた駒と盤面はすべすべとした心地良い手触りで木工技術の精度の高さを感じます。駒を収納するケースに至る細部まで、感動してしまうほど芸術的で美しいチェスセットです。

●ショーギ・ペルフェクト  -shogi perfecto –

中島雅弘氏(株式会社アーヴァイン・システムズ代表/アブストラクトゲーム博物館館長)がデザインした将棋盤と駒。スペイン・ネスター社の協力のもと、2016年に製品化されました。

先に挙げたバウハウスのチェスセットへのオマージュとして作られたという、駒の動きそのものが造形されたそのデザインは機能性と芸術性を兼ね備えた逸品です。駒と盤はアクリル製。駒は程好い厚みと重量感があります。

特筆すべきは成り駒の裏面のデザイン。スペインと日本の歴史・文化を象徴する幾何学的文様が刻印されているようですが、この文様が表面ではなく裏面に刻まれているというのがとてもオシャレ。どうやらそれも江戸文化の”粋”につながっているようです。

江戸時代、贅沢を禁止する“奢侈(しゃし)禁止令”が継続的に出されました。武士、町人に対して布地の種類から染め色までを指定し、派手な色や柄は一切禁止。それに反発するように、江戸っ子たちは裏地の方に趣向を凝らして、江戸小紋の独特の染めを用いるなど、見えないところにこだわったり、お金をかけたりするようになりました。“底至り(そこいたり)の美学”というそうですが、さりげなく、分かる人には分かるという表現が“粋”とされたんですね。そこまで考えられて作られていると知った時、私は感嘆しました。なんて奥深く美しい表現なのだろう、と。

ちなみに「shogi perfecto」は2017年に「禅(zen)」という成り駒の裏面のデザインが異なる、少し大きめのサイズのものが発売されました。それに伴い、2016年のこのモデルは「粋(いき)」と名付けられました。

1 / 2

関連タグ

この記事もおすすめ