【福岡 この店、この一品】下川端町・割烹「ふじ本」の松茸土瓶蒸し

福岡市博多区下川端町。ホテルオークラ福岡の東側、通称 “リバレイン通り” のビルの谷間に一軒の料理店が静かにたたずんでいます。
今回ご紹介するのは、こちらのお店。創業60年を超える、博多を代表する老舗割烹「ふじ本」です。

まずは生ビールで乾杯。きめ細かな泡が嬉しい、エビスビール。
お通しは、鯛の昆布締めの和え物と牛すじ大根。老舗割烹ならではの丁寧な仕事が施された品々に心が浮き立ちます。
大根が盛られた器の形は「割山椒(わりざんしょう)」と呼ばれ、秋に山椒の実が枝から落ち、殻がはぜた形を模したもの。器からも季節を感じられるのが日本料理の奥の深さ、醍醐味ですね。

続いて供された鯵のたたきは、適度に脂がのった鯵の身の甘みと旨味に、ミョウガとカボスの風味が絶妙のアクセント。

お造り盛り合わせは、ウニ、鯛、イカの三点盛り。
鯛は「松皮造り」で供されます。皮の部分に熱湯をかけ、素早く氷水で冷やす調理法で、皮の旨味と弾力を余すところなく味わうことができます。熟練の職人技が光る逸品。
合わせるのは新潟の銘酒「緑川(みどりかわ)」。水のようなサラリとした口当たりと爽やかな後味が特徴的で “端麗辛口” と称される新潟の清酒の中でも、比較的力強く、味わい深い一本です。

そしてここで、割烹「ふじ本」でこの季節にぜひ味わいたい一品が登場。

土瓶の蓋を取ると、そこには秋の味覚の王様・松茸がたくさん。これぞ、松茸の土瓶蒸しです。

添えられたカボスを搾り込んで、まずはお出汁をいただきます。
お猪口一杯で、体が打ち震え、細胞が全て目覚めるような幸福感。思わず杯が進みます。

土瓶の中には、松茸のほかに、海老や銀杏、三つ葉が。
これらの素材を蒸し上げる、すなわち沸点以上の温度が素材に加わらないことで、引き出され、そして保たれる味わいと風味。まさに日本料理の技巧が凝縮された一品です。

そして、アラカブの煮付け。
「アラカブ」というのは九州特有の呼び名で、通称名は「カサゴ」です。
その身はホクホク、プリプリで、上品で淡白な味わい。煮汁の濃さも絶妙に仕上げられています。

ご飯となめこの味噌汁、お新香で、今宵の晩餐はお開きと相成りました。

季節を感じ、料理人の技を感じる老舗割烹でのひととき、ぜひ味わってみてください。

Produced by 福博ツナグ文藝社

※情報は2018.9.19時点のものです

博多ふじ本

住所福岡市博多区下川端町10-11
TEL092-271-1968
URLhttps://www.facebook.com/hakatafujimoto

福博ツナグ文藝社

福岡の飲食文化・芸術文化に関する情報発信を行う非営利団体。樋口一幸氏(Bar Higuchiオーナーバーテンダー)が代表を務め、毎年6月に開催される九州最大のウイスキーの祭典「ウイスキートーク福岡」の企画運営のほか、2017年には福岡市博物館にて期間限定イベント「黄金のミュージアムバー」、福岡市総合図書館映像ホール・シネラにて特別上映会「映画監督 中島良の世界」などをプロデュース。「ART FAIR ASIA FUKUOKA」や「ギャラリー梯子酒」などアートイベントの広報も手がけている。

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