犬たちが健康に巣立つことが大きな喜び 盲導犬訓練士の女性

今年は戌(いぬ)年。犬は、ペットとして飼う人も多く、人間にとても身近な存在です。

今回は、盲導犬としてデビューするまでの犬を預かって、健康管理や訓練を行う、盲導犬訓練士の市丸千里さん(31)を取材しました。

 盲導犬訓練士とは、視覚障害がある方の自立と社会参加を手助けする盲導犬を育成・訓練する仕事です。市丸さんは現在、盲導犬となるまでの「候補犬」が暮らす犬舎の管理を主に担当しています。

―この仕事に、なぜ就いたのですか。

 犬が好きで、犬とコミュニケーションが取れる訓練士という仕事にずっと興味がありました。進路を決めるとき、「犬と触れ合えて、人の役に立てる仕事をしたい」と考え、盲導犬訓練士を目指しました。高校卒業後は専門学校に進み、ペットビジネス科のトレーナー専攻クラスで学びました。犬の体や病気、行動など、犬に関するいろんな知識を身に付けました。

―今の主な仕事は。

 盲導犬としてデビューする前の1~2歳の候補犬が暮らす犬舎を管理しています。毎日の清掃はもちろん、感染症などの予防するために健康診断を受けさせたり、犬たちが過ごしやすいような室温、湿度の管理に気を配ったりもします。健康でなければ、訓練はできませんから。

生後2カ月から1歳になるまで、候補犬を自宅で育てていただくボランティアのことを「パピーウォーカー」と呼びます。その方々の自宅にうかがって、しつけのアドバイスをしたり、吠える、かむなどの問題行動についての相談に乗ったりしています。

パピーウォーカーは現在、宮崎・鹿児島を除く九州各県と山口県内に30人ほどいらっしゃいます。

盲導犬について知ってもらうため、小学校や中学校で講演を行うこともあります。

―大変なことや、やりがいは何ですか。

 犬1頭1頭の行動を、常に観察することが求められます。例えば、犬が吠えた場合、それが警戒なのか、ストレスなのか、要求なのか、さまざまな理由が考えられます。生き物が相手ですから、なかなかマニュアル通りにはいかないですね。

また、この仕事は犬と同じくらい「人」と関わることが多い仕事です。子どもから大人まで、幅広い年齢層の方と接するので、どのように話したら伝わるのかを常に考えています。

 実は、候補犬たちがすべて盲導犬になれるわけではありません。中には「緊張しやすい」「乗り物が苦手」「警戒してよく吠える」など、性格上盲導犬になれない犬もいます。そういう犬たちは、「キャリアチェンジ犬」となり、新しい飼い主を探さなければなりません。その飼い主は、家族構成、飼育環境などを参考に選びます。盲導犬になってもならなくても、犬たちが健康に盲導犬協会を巣立っていくのは大きな喜びです。

―今後の抱負は。

 盲導犬の育成には、ボランティアの方々の存在が欠かせません。パピーウォーカーやキャリアチェンジ犬のほか、母犬の出産の世話や、生まれた子犬を生後2カ月になるまで預かっていただく「繁殖犬ボランティア」、10歳を目安に引退した盲導犬を世話していただく「リタイア犬ボランティア」と、さまざまなボランティアの方に支えられています。

また盲導犬の育成には多額の費用がかかり、多くの人の善意と支援が必要です。より多くの人に盲導犬への関心を持ってもらうために、チャリティーイベントで募金活動を行うなど、今後も啓発活動に努めていきます。

九州盲導犬協会

電話/092(324)3169

住所/福岡県糸島市東702-1

※情報は2018.1.13時点のものです

この記事もおすすめ