絶景がインスタで話題。「ウミノビヨウシツ」の仕掛け人とは?

  • 2019.3.4

 福岡県糸島市西部・深江海水浴場の並びにある美容室「ウミノビヨウシツ」。すっきりとしたミニマルな空間に目の前の海を切り取った大きな窓が印象的で、まるでギャラリーのよう。そして、この場所から眺める海の景色が素晴らしいとインスタで話題。県外からも注目を集める人気ヘアサロン独自のこだわりと、来る人を魅了する世界観を伺いに、オーナー・吉村マサヒロさんのもとを訪れた。

Q.どなたが設計したのですか?

 実は自分で設計図を引き、地元の先輩の建築業者さんに施工してもらいしました。

 昔は建築家が夢で、今でも建築物やインテリアを見るのは大好きです。前の店でも内装を自分でやってましたが、今回はゼロから自分の理想を突き詰めようと、図面を引いてみることにしたんです。

 店内で一番大きなインテリアは、窓越しに見える海。この雄大な景色を最大限に生かしたかったので、極力無駄をそぎ落としたシンプルな空間にしました。

 一番インスパイアされたのは、現代建築のミニマリスト・小川晋一さん。小川さんの建築物をお手本に、スパーンとすっきり美しい建物にしました。

 サロンチェアはビンテージの理髪椅子を使っています。男2人でやっと運べるほど重たいんですが、その分どっしりとしたオーラがあり、革張りの雰囲気と、座り心地の良さがお気に入り。

Q. 海沿いに美容室を開こうと思ったきっかけは?

 以前は、糸島の内陸部・前原に店を構えていました。子どもが大きくなり、家の購入を検討する中で、自分が働く姿をわが子に見せたいなと思い、住居兼美容室を開くことにしたんです。僕の実家も金物屋の住居兼店舗で、幼い頃から働く親の背中を見て育ちましたからね。

 そして、ここ深江海岸は、僕の地元で幼い頃からずっと遊んできた場所。人一倍思い入れがあるので、この海の前で店を開きたいという気持ちも強かったですね。店から海を眺めると、真正面に姫島がスッと浮かんで見えて特等席なんですよ。毎日変わる海の色も間近で感じられて、本当に心が洗われます。お客さまにも美しい景色を感じてもらたいなと思いました。

 こうして、絶景を最大限に感じられる“世界一の美容室”を作ることを目標に動きだしたんです。海沿いといっても道路を挟んで建つのではなく、道路も電線もない、本当の意味で海の目の前であることにこだわりました。まさに、この場所が僕の理想にぴったりはまる完璧なロケーションだったのです。

Q. 店づくりで苦労したのはどういう部分ですか?

 移転を検討して店ができるまで4年間かかりました。いろんなドラマがあり、苦しかったことも多かったですね。

 まずは、土地を買うところから大きな壁に直面。「これぞ!」とほれ込む土地を見つけたものの、地主さんとの交渉が難航して…。建設業の先輩に間に入ってもらいましたが、地主さんにきっぱり断られたんです。でも僕がどうしても諦めきれなくて直談判しに行ったところ、うちの実家とのつながりが分かって状況が一転! 念願かなって売ってもらえることになったんです。

 その後も試練は続き、融資がなかなか下りず、途中で建設プランを変更せざるを得なくなりました。ここに一番時間を要しましたね。一筋縄ではいかないことが多かったですが、その都度諦めずに粘ったからこそ、今こうして理想の店を築けたんだよなぁとしみじみ感じます。

 試練の連続で悩んでいる時、僕の心の師匠から「デザインは制約があって成り立つ」という名言をもらいました。課せられた制限があるからこそ、その中で最善策を考えるし、独自のこだわりを見いだすもの。この空間も同じで、さまざまな壁が立ちはだかる中でベストを尽くしたので、一つも後悔するところはありません。

Q. 美容師としてのポリシーはありますか?

 カットからシャンプー、ブローまですべて自分が担当することがポリシー。1人のお客さまだけに集中できるようにマンツーマンの環境で、海が見える個室を用意しています。美容師としてお客さまを感動させるためには、ヘアーだけではなく、心地いい空間の提供も大切にしています。常連さんからも、「髪形をこうしたい、ああしたい」という声より、「ここで過ごす時間が好き」と言ってくださる方が多いですね。

 今の場所になってからは特に、非日常やリラックスを目的に来てくださる新規のお客さまも増えました。遠方だと福井県からいらっしゃった方も!

 「人生で最後に髪を切るとしたらどこで切りたいですか?」。その答えが、うちであれたらと願っています。

Q. 愛犬・コタロウくんも、素敵なおもてなしをしてくれるそうですね

 フレンチブルドッグの店長です。かれこれ7年ほど店に立っているおじいちゃんワンコですが、常連のみなさんに愛されています。お客さまが犬好きであれば、ヘアカラーやパーマの待ち時間中に「コタロウにおやつをあげてください」とドッグフードをお渡ししています。コタロウも席に近づいてきて、和やかな時間が生まれていますよ。逆に犬が苦手な方でしたら、ケージ内に移すなどお客さまに合わせています。

Q. 棚には本がずらり!  毎月いくら本に費やしてますか?

 だいたい月に2万円ほど、10〜12冊くらい買っています。料理関係からファッション、カルチャー、インテリア系まで幅広くそろえていますが、毎号買う雑誌は決まっていますね。旅系の「TRANSIT」、ライフスタイル誌の「&Premium」「nice things.」「Kinfolk」、建築関係の「住む。」など。また、個人的に好きな建築雑誌や作品集、アートブックなども買い足しています。

 オープンしてまもなく1年がたちますが、店が本当の意味で完成するまで、あと2年かかると見積もっています。自宅で植物を育てているので、ベストなタイミングで店に飾りたいですし、看板代わりに軒先に置くサロンチェアのオブジェも来年修理が完了すると思います。

 これからも時間をかけて、お客さまfに美しい海を感じてもらえる“世界一の美容室”を目標に育んでいきたいです。

美容師 吉村マサヒロ

1979年、糸島市生まれ。10代から美容業界に携わり、2011年に独立して同市前原にヘアサロンをオープン。2018年1月に同市二丈福井に場所を移し、「ウミノビヨウシツ」を開店。ゆくゆくはさまざまな場所で髪を切ることが夢。

ウミノビヨウシツHP
ウミノビヨウシツInstagram

 
 

※情報は2019.3.4時点のものです

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