話題のeスポーツ部をのぞいてきた! 大原学園福岡校編

 コンピューターゲームで競う「eスポーツ」への注目が高まる中、教育の現場でもeスポーツ部やプロ養成講座ができるなど関連の動きが広がっています。具体的にどんなことをしているのか、家で取り組むのと何が違うのか―。多くの人にとってまだなじみが薄いと思われる“教育現場のeスポーツ”について現状を探ろうと、2月にできた大原学園福岡校のeスポーツ部を訪ねてみました。

モニターを見ながらゲームをする部員(奥)とその様子を眺める部員

 福岡市博多区上川端町の専門学校、大原学園福岡校の校舎内にあるeスポーツ部の部室。中には高性能のゲーム用モニターや観戦用の大型モニターなどが並び、十数人の学生たちが思い思いにゲームをしていました。1人で真剣に画面に向かう学生もいれば、談笑しながら対戦する学生も。「この学校の部活はプロを養成するのが目的ではなく、eスポーツの裾野を広げるのが狙いです」。この部の立ち上げを主導した顧問の作花(さくか)浩聡教諭が説明してくれました。

「さまざまな分野の学生にとって将来のプラスになる」(顧問の作花浩聡教諭)

 eスポーツはビジネスとして拡大しているだけでなく、介護施設が認知症予防にeスポーツを取り入れるなど幅広い分野で広がっています。作花教諭は、新たな学科新設について研究する中で、eスポーツに着目。大原学園にはホテルスタッフ、介護福祉士、公務員などさまざまな職業を目指すコースがあり、「eスポーツに親しむことはさまざまな分野の学生にとって将来のプラスになる」と考えたといいます。

eスポーツ部顧問の作花浩聡教諭

 日本ではまだ「eスポーツは、スポーツか否か」に注目が集まりがちですが、海外では教育の一環として取り入れている国も多くあります。作花教諭は、そうした“eスポーツ先進国”の事例をインターネットなどで調べ、参考にしたといいます。

重視するのは、オンとオフの切り替え、機材、社会とのつながり

 部として活動する際に作花教諭が重視したのが「オンとオフの切り替え」。部活動は、月曜と木曜の午後5~7時。部員は月・水・金曜も同じ時間帯に部室を使えますが、長時間ゲームを続けることがないように注意が払われています。

部室にはカーレースの専用機もあります

 機材の性能の高さにもこだわっています。格闘ゲーム用のモニター、カーレースの専用機、画面上でキャラクターをスムーズに動かすためのレバー付きコントローラー、長時間座っても疲れにくいゲーム用のいす…。企業から無償提供されたものや、格安で提供してもらったものも多いといいます。個人でそろえるのが難しい高性能の機材を集めておけば、おのずと部室に部員が集まり、家で長時間ゲームをしなくなる、という狙いもあるそうです。

 部活動を通じて社会とのつながりを持ってもらうことも目的の一つ。福岡県内などで行われるeスポーツの大会には、部員がボランティアとして参加しているといいます。

「部活動を通してゲームの悪い印象を変えたい」(部長の大内聖也さん)

 部員は、さまざまな学科で学ぶ約20人。部長の大内聖也さん(22)は「単に強くなることよりも、部活動を通してゲームの悪い印象を変えたい」と話します。幼い頃から「プレイステーション」などのゲーム機でゲームをしていたといい、醍醐味(だいごみ)は「相手の行動を予測し、それに対する戦略を考えて勝つこと」。部活動では、高性能の機材を使うことができ、仲間と会話しながら取り組めるので「自宅でするよりも楽しい」と話します。

部長の大内聖也さん

 部員には、モンゴルからの留学生もいます。ホテル・観光のコースで学ぶトムル・バトトルガさん(25)です。バトトルガさんは小学校の頃から自宅やネットカフェでゲームの腕を磨き、2015年に韓国で開かれた国際大会「eスポーツ世界選手権」(国際eスポーツ連盟主催)では、戦闘ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の部門で8位に入賞した実力者。その後ゲームをやめていたものの、大原学園に留学し、eスポーツ部ができると知って入部しました。ただ「家でゲームをすると没頭しすぎて、アルバイトなどに支障が出てしまう」と言い、今もゲームは部活のときしかしていないといいます。

モンゴルからの留学生トムル・バトトルガさん

茨城国体を見据え活動

 取り組むゲームもレベルもさまざまな部員が集まる大原学園福岡校のeスポーツ部ですが、部全体として見据えるのは、茨城国体の福岡県予選。部活動の時間はそれぞれ好みのゲームをしていますが、大会種目の「ぷよぷよeスポーツ」、サッカーの「ウイニングイレブン 2019」、カーレース「グランツーリスモSPORT」のいずれかに取り組むことがルールになっています。

 今後はスポーツの学科で学ぶ学生たちの協力を得て、部活を始める前のストレッチや、部活が終わった後のクールダウンの体操を取り入れる予定。これもオン・オフの切り替えを効果的に行うためだといいます。

 作花教諭は「eスポーツに興味のある小中学生は多いと思いますが、まだ良くないイメージを持っている保護者も多いと思います。そういう人たちにも納得してもらえる部活動にしていきたいです」と語っていました。

談笑する作花浩聡顧問(左)と学生

 これからも広がりそうな教育現場でのeスポーツ。大原学園福岡校eスポーツ部の活動は先行例として参考になりそうです。

部室のホワイトボートに書かれた部活動の方針

※情報は2019.6.19時点のものです

なかやま

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