自分らしく生きたい…転職 波佐見焼がつないだ縁

  • 2019.7.1

 目の前に広がるビーチ、抜けるように青い空。福岡市西区の糸島半島に店を構えるのが、波佐見焼ブランド「マルヒロ」の専門店「HEY&Ho.(ヘイアンドホー)」だ。なぜこの場所で、長崎県波佐見町の器を販売しているのか。店主の本城茂太さんに話を聞いた。

 
 

Q. なぜ波佐見焼の専門店を始めたのですか

 この店を始める前、15年間アパレル会社に勤めていました。人と話をするのはすごく好きだったんですが、自分がおじいちゃんになっても続けているイメージがわかなくて。

 何か別のことをやってみようと思い、造園業や農家、会社員など、いろんな仕事をしたんです。

 大きな組織で働いて分かったのは、自分がそれに向いていないということ。じゃあ自分でやるしかないな、何をしようと考えたときに、マルヒロの「HASAMI(ハサミ)」シリーズが注目を浴び始めていました。低迷していた有田焼や波佐見焼のイメージがガラッと変わったのを感じました。

 でも、他の商品もすごく格好いいのに大手が扱うのは代表的なマグカップなどの売れている物だけ。マルヒロの社長は昔からの遊び仲間だったので、「それじゃもったいない。全シリーズ売るから店をやらせてよ」とお願いしたんです。

 マルヒロはまだ通販もやっていなかったし、地元だけじゃなく都会でも商品をアピールしたいと思っていたところだったので、その場でOKをもらいました。

 

Q. 糸島半島を選んだ理由は

 偶然です。マルヒロの社長に電話したら5分も話さないうちに「いいよ」って言われたんですけど、まさかそんな急に決まると思わないから開店資金も何も準備していませんでした。

 最初は福岡市・天神で探したんですが、なかなかいい物件がなかったんです。そうしたら、たまたま糸島半島で商業施設がオープンすることになって「ここで店をやったら?」と言ってもらえました。店舗運営の経験もないから、マルヒロで展示の仕方やノウハウを教えてもらったり、自分で内装を手掛けたりしました。

 でも、結果的にはここを選んでよかったと思います。お客さまの半分くらいが旅行で来ているんです。大阪や名古屋、海外から来る人もいて、おかげでご縁が広がってイベントなどに呼んでもらうことも多くなりました。

 
  それに、マルヒロの直営店がある長崎と福岡では売れ筋が違うんです。うちは本社とほぼ同じ商品をそろえていますが、客層が違うので、あっちで売れてこっちで売れない物や、その逆もあります。

 試作品を直営店とうちで売り出して、両方の反応を見て商品化に踏み切ったり、ボツになったりするものもあり、実験的なやり方ができて面白い。偶然選んだ場所ではありますが、ここでやっている意味はすごく大きいと思います。

Q. NONCHELEEEとのコラボのきっかけは?

 福岡市在住のイラストレーターのNONCHELEEE(ノンチェリー)も遊び仲間の一人です。僕は趣味でバンドをやっていて、音楽つながりで彼と知り合いました。その頃はまだイラストレーターとして活躍しているわけではなかったんですが、趣味でちょこちょこ描いているイラストがめちゃめちゃ下手くそで面白かったので、「看板を描いてよ」って頼んだんです。その後、マルヒロに彼を紹介してコラボ商品を出したり、うちのオリジナル商品を作ったりしています。

Q. 業績が振るわない時はどうしていますか

 「外に出る」ですかね。人とのつながりを生かして、よそにポップアップ出店したり、ワークショップをやったりしています。

 確かに季節によって来客数は変わりますが、来客が多いからその分売り上げが上がるというわけでもないんです。冬場のほうがゆっくり見られるから良いと言う人や、年に1回必ず来る人もいらっしゃいますし。まずはご縁のあった人とどうつながっていくかということが大事なのかなと思います。

Q. 転職して良かったですか

 一度、会社員として企業に勤めた経験は大きかったと思います。仕事自体は楽しかったですが、守らなければいけない細かいルールの多さや上下関係、めちゃくちゃ頑張ってもマニュアルがあるから階段を一段ずつ上るようにしか進めないのが嫌でした。

 
 もちろん、大きな組織を機能させるためには必要なことだと思いますが、自分には合わなかった。個性を殺されるような気がしたんです。一度会社に勤めて、その後自分で店を始めたことによって自分自身を取り戻せた気がします。

 今は転職も当たり前だし、迷っている人はいろいろ考え過ぎずにこれだと思えるものにぶつかるまで、いろんな仕事をやってみたらいいんじゃないかな。

Q. お金や物に対する考え方は?

 昔に比べて物にはお金を使わなくなりました。お金とか経営とかあんまり考えずに動いちゃう。すごく大事にしているのは、人とのつながりです。今の仕事につなげてくれたのは、趣味の友達ばかり。若い頃に遊んでいてよかったなって思います。

 これからも波佐見焼だけでなく、木工作家の友人の作品やNONCHELEEEとのコラボ商品なども増やして、国内外問わずもっといろいろな場所や人とつながっていきたいです。

HEY&Ho. 本城茂太

 1975年福岡県生まれ。アパレル店勤務などを経て、「年齢を重ねてからもずっと自分らしく楽しく生きていきたい」という思いから、波佐見焼メーカー「マルヒロ」の姉妹店「HEY&Ho.」を2015年7月にオープン。豊富なラインナップと飾らない人柄が人気を呼び、福岡県内外問わず海外から訪ねてくる客も多い。店名は尊敬している北島三郎さんの名曲「与作」から。

 HEY&Ho. 
 福岡市西区西浦285 A-3 Palm Beach The Gardens内
 TEL:092-809-1234

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※情報は2019.7.1時点のものです

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