公務員から転身、クラフトビール店主に 角打ちで「飲む楽しさ」を提供

  • 2019.8.5

 公務員生活にピリオドを打ち、クラフトビールに人生をささげた店主がいる。福岡市中央区高砂にあるクラフトビール専門店「BEERSONIC(ビアソニック)」のオーナー深堀成吾さん。4坪の小さな店内には、角打ちスペースのほか、オリジナルを含め国内外合わせて常時60~70種類にも及ぶ豊富な品が並んでいる。店を開いた経緯やこれまでの苦労、将来の目標を聞いた。

Q. クラフトビールとの出合いは

 大学を卒業してから23年間、公務員として働いていました。安定した職場でしたが、「このままでいいのか」という思いが胸の中で渦巻いていました。そんな時、カフェに興味があったので、休暇を利用して「カフェの聖地」と言われるアメリカのポートランドに行ったんです。20~30軒を巡る中、ガレージのような所で、多くの人がグラスを持って集まっているのが目に留まり、立ち寄ってみたんです。すると、そこはクラフトビールの工場でした。ビールもおいしかったけれど、何よりもそこにいる人たちの雰囲気が和やかで、とても気持ちよかったんです。それが初めてクラフトビールに出合った瞬間でした。

 Q. 帰国後すぐに専門店を開いたのですか

 まず起業セミナーに参加してカフェ運営の提案したのですが、まったく駄目でした。落ち込んでいたら、クラフト工場での光景がふと脳裏に浮かび、ビールって万国共通で人を楽しませるアイテムだと思ったんです。

 その後に参加したイベントで、東京のクラフトビール会社「Far Yeast Brewing(ファーイーストブルーイング)」の代表、山田司朗さんと出会ったんです。まさに人生の転機でした。

 山田さんは流通などを含め、ビジネスとして世界基準でクラフトビールをとらえている人です。しかも造っているビールがおいしい。山田さんと話していたら衝撃を受けて、よし僕もクラフトビールで勝負しょうと思ったんです。しかし飲食業の経験がないため、ビアパブを開いたとしても、ピンとこなかったんです。どういう形態の店を出すべきか決めかねていた時、山田さんから「酒屋をやってみたらどうかな?」というアドバイスをいただいたんです。福岡にクラフトビール専門の販売店もあまり多くはないし、酒屋であれば一般販売の他に、飲食店への卸しもできる。楽しむ空間を提供したいなら角打ちという方法もある。これは面白いと思いました。

 Q.  順調に開店できましたか

 販売するための免許を取得し、福岡商工会議所で事業計画書の書き方から資金繰りまで、起業のノウハウを指導してもらいました。最初は2017年4月に自宅のマンションの一室で酒屋として開業したんです。免許取得と同時に店舗物件は見つかっていたんですが、入居できるのが1年後だったため、その間は自転車でビールを売り歩いていました。

 その一方で、店舗を構えるなら、「クラフトビールを福岡で絶対にはやらせる」という本気を見せるため、絶対的においしいオリジナルのビールが必要だと思いました。そのことを山田さんに話したら醸造を引き受けてくれて、共同開発に取り掛かりました。それがオリジナルの「WESTBOUND Session IPA( ウエストバウンド セッション アイピーエー)」です。店舗オープンに合わせてこの商品を完成させました。

 【写真左:香りがよく、外飲みに合う爽やかな味の「WESTBOUND Session IPA」。同右:芳醇な味わいの 「WESTBOUND Session IPA 2nd」。いずれも330㍉㍑、700円】

 おかげさまで、これだけ多くの種類をそろえている専門店は珍しいという評価も増えてきて、今では関東や海外からもお客さまが来ます。

Q. クラフトビールの魅力は

 多様性があって、気軽にいろんな楽しみ方ができるのが魅力です。これまで大手メーカーのビールしか飲んでいなかった人が、うちのを飲んで、「ビールじゃないみたい」と言われたら、うれしいですよ。それって、既成概念が覆されたってことですからね。

 僕はビールの役割って実は5%くらいだと思っているんです。あとの95%は、誰と飲んでいるか、どんな場所で飲んでいるかというさまざまなシチュエーションで決まる。だからこの店も、入りやすさと楽しく飲めることにこだわりました。

 店内の角打ちスペースでは、お客さま同士の飲み比べが始まったり、リピーターの人が商品を説明してくれたりすることもあります。飲んで話して、何となく沈んでいた人たちが「明日も頑張ろうかな」って思うきっかけになれたら、本当にうれしいです。

 【写真:大人数で楽しめる大瓶のベルギークラフトビール「Bons Voeux(ボン ヴー)」750㍉㍑、1900円】

Q. これからの目標を教えてください

 多くの人に楽しんでもらえるように、自分からいろいろ仕掛けていくつもりです。オリジナルビールの開発や異業種とのイベントも考えています。成功への近道なんてありませんから、毎日の積み重ねを大切に、一つずつ段階を踏んでいきたいと思っています。

 

 深堀 成吾

 1969年生まれ、長崎県出身。大学卒業後、23年間公務員として働いたのち、自宅マンションの6畳一室でクラフトビールの販売を始めた。2018年4月に「BEERSONIC」をオープン。

 BEERSONIC

 福岡市中央区髙砂1-18-2 髙砂小路103
 営業時間:(月・金)15:00~20:00(土・日)13:00~17:00 
 祝日定休、その他不定休

 BEERSONIC HP
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※情報は2019.8.5時点のものです

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