新海誠監督、醍醐虎汰朗さん、森七菜さん、映画「天気の子」舞台あいさつ

 「君の名は。」から3年。新海誠監督の最新作映画「天気の子」が大ヒット公開中です。8月末には興行収入100億円を突破した大ヒットを記念して、新海監督と主人公・森嶋帆高の声を務めた醍醐虎汰朗さん、ヒロイン・天野陽菜の声を演じた森七菜さんが舞台あいさつでT・ジョイ博多(福岡市博多区)を訪れました。

「天気の子」がT・ジョイ博多をジャック!

 舞台に登壇した新海監督は「2時間もの長い映画を見ていただき、ありがとうございました。疲れているとは思いますが、もう少々お付き合いください」と、人柄がにじみ出たような優しい声であいさつ。

 「3年前に前作『君の名は。』のキャンペーンで神木(隆之介)くんたちと来て以来の福岡。懐かしいです」と新海監督。一方、醍醐さんは福岡に来るのが初めてだそうで、監督が福岡のいいところをアピールする場面も。森さんは出身が大分県ということもあり、福岡には何度も来ているそうなのですが「福岡は九州の中で“都会”のイメージ。ヒップホップダンスの発表会などで来ていたのですが、毎回上京気分でした」と思い出を話してくれました。

3人そろって登壇

 新海監督がこの日詰め掛けた観客に「今日はどこから来たんですか?」と尋ねると、福岡県外からの人も多く、中には大分県からという人も。森さんが同郷の人に喜び、手を振る場面もありました。

大分県から来たという人を見つけて笑顔で手を振る森さん

 司会者が新海監督へ質問しようとすると、「先に僕から質問してもいいですか? 皆さんはこの作品を、何回見てくれたのかが知りたいです」と監督。3人で「初めての人」「2回目の人」と楽しそうに客席に問い掛けていました。

 初めて見たという人は少なく、8割ほどのお客さんが2~5回は見ているという結果に。中には10回以上見たという人もいました。

10回見たという観客に驚く醍醐さん

 「10回見たという人は、どういった気持ちで見てくれているんでしょうか」と興味津々の3人。「ツイッターなどで見かけた考察を基に、考えながら見ています」という返答を受け、「DVDなどにする際に、間違いがあれば直せるのですが今のところどうでしょう。おかしいところはありませんでしたか?」と新海監督。聞かれたお客さんは笑いながら「今のところ大丈夫です」と答えていました。

 新海監督は今回のテーマについて「前作が公開されて、次回作を作ろうと思った時に自分が一番興味があるのが『天気』だったんです」と話し始めます。

 「日本に限らず世界的に天気が変わってきたという感覚が自分の中に生まれました。夏はより暑くなり、梅雨に限らず長雨が続き、激しい雨で被害の出る地域もあります。地球温暖化をしっかりと体感できるようになってしまったな、と。随分前からこうなることを人間は分かっていたはずですよね。でも経済的な利益を取ってしまって、はっきり止めることができなかった。そうしたツケが回ってきたなと思うんです」

「自分たちが変えてしまった世界でそれでも生きていく話を作りたかった」と新海監督

 根本的な解決をせずに、後回しにしたのは今大人である自分たちの責任だと言い、「これから季節はだんだんと過ごしにくくなってくるんだと思います。だらしない大人がつくった世界。でも今の若い世代はそんなのを飛び越えて、『こういう世界なんで』って受け止めている気もする。大人が若者に手渡せる世界が少し狂った世界だったとしても、恋をして、笑って走って、変わらずに強く生きていってほしい。そしてそんな世界を駆け抜けていくような少年と少女の姿を描きたい。そう思って「天気」をテーマにしたんです」

顔と性格が帆高に似ているという醍醐さん

 少年と少女の声は、あまり知られていない、フレッシュな声にしたいと考えたという新海監督。オーディションで醍醐さん、森さんを選んだ時の様子を「まず2,000人以上の応募があったんですが、日本には若い俳優さん、女優さんが2,000人もいるんだなという驚きがありました」と笑います。

 「2人にした決め手は…これは何度も僕、2人に伝えているので2人に自分の口で語ってもらおうかな」とバトンタッチ。
 自分で自分のいいところを言ってほしい、と言われた2人は気恥ずかしそうにしながら、醍醐さんは「(帆高に)顔と性格が似ているからです!」。森さんは「陽菜を一番教えてくれそうだったからだったかな?」と答えました。

森さんの陽菜が一番どこまでも連れて行ってくれそうだったそうとか

 あまりに手短に話をたたもうとした様子に、新海監督は「2人とも自分で話すのは照れるのかな。もっといろいろ伝えてきたんですけど」と苦笑いしながら、「帆高のイメージは最初からあったので、醍醐くんを見た時はハッとしました。顔や雰囲気が思い描いていた帆高だったので。帆高は物語を引っ張ってくれる人。醍醐くんは話してみると真っすぐで他人を気遣えて、でもその気遣いが空回ってあたふたするかわいいところも全部帆高だった。この声で引っ張っていってほしいと思ったんです」と醍醐さんについて語ります。

 森さんが演じる陽菜については「“100%の晴れ女”なので、僕(の性格)とは真反対の人に演じてほしいな、と。『今から晴れるよ』のセリフは、印象的なセリフです。でも脚本を書いている時は、陽菜がどんな気分でどんなふうにしゃべるのか想像がつかないままだった。オーディション会場で出会った中で一番“よく分からない”女の子が七菜ちゃんで、目が離せないと思ったんです。人を引き付ける力がすごかった。陽菜は次の行動が想像できない女の子であってほしいと思っていたので、七菜ちゃんが演じてくれてよかったと思っています」

 監督から改めて受けた評価に2人は照れ笑い。「有名な話だとは思うんですが、監督は事前にビデオコンテを作ってくれるんです。それを見ていたのですっと役に入れたというか」と醍醐さんは説明します。

 動く絵コンテ(ビデオコンテ)を作成し、そこに新海監督が女性キャラクターの声も含めすべてアテレコ。これを事前にキャストが見ることで演技の方向性が定まりやすいといいます。声優には初挑戦だった2人ですが、そのおかげでとても演じやすかったそうです。

 「2人がどうやって声を吹き込んでいたのかぜひ皆さんにも見てほしい」という新海監督の一言で、劇中のセリフを実際に生アフレコする楽しい場面も。

「実際にアフレコしてみよう」という新海さん(中央)

 その場でキャラクターになりきり、テンポよく掛け合うシーンを見ていると「帆高と陽菜だ!」と感動しました。この日誕生日だった森さんと、翌日誕生日だという醍醐さんを会場のみんなで祝った後、森さんから「醍醐くんに、帆高で祝ってほしい!」というリクエストが。作中でも印象的な誕生日のシーンでのセリフを演じ、森さんも大喜びでした。

 新海監督も「予想外!」という質問が飛び出したり、主題歌をはじめ劇中音楽を担当したロックバンド・RADWIMPS(ラッドウィンプス)のボーカル・野田洋次郎さんが監督にしたのと同じ質問が飛び出したり、博多弁でアフレコをしてほしいというお願いに応えたりと、観客からの質問コーナーもこなし、あっという間の30分間でした。

主題歌「愛にできることはまだあるかい」に全てが詰まっているそうです

 新海監督は最後に「この作品について長々と語ってしまったけれど、野田洋次郎さんが作ってくれた曲の、この一節に全てが込められていると思います。皆さんにも、僕が曲を聞いた時の衝撃というか、感動を持って帰ってほしいので、2人に歌ってもらって、終わりとさせていただきます」

 醍醐さん、森さんが伸びやかな歌声をアカペラで披露してくれました。作品のもう一つのテーマにもなったという曲の一節、「愛にできることはまだあるかい? 愛にできることはまだあるよ」♪

※情報は2019.9.19時点のものです

やはた

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