映画「台風家族」主演の草彅剛さんと市井監督にインタビュー!

 9月6日から9月26日(木)まで3週間の期間限定で公開されている映画「台風家族」。公開を記念して、主演の草彅剛さんと監督の市井昌秀さんが福岡を訪れました。インタビューと舞台あいさつの様子をお伝えします。撮影の裏話なども聞けましたよ!

グー! のポーズをしてくれた市井昌秀監督(左)と草彅剛さん

 商業映画1作目の「箱入り息子の恋」(2013年)で、単館公開ながら1億を超える興行収入を出した市井監督のオリジナル脚本で製作された今作。10年前に銀行で2,000万円を強盗したまま霊柩車(れいきゅうしゃ)で逃げ、行方が分からなくなった両親の、“見せかけ”の葬儀を行うために実家へ集まった鈴木家の4きょうだいの話です。

 財産分与狙いで場をしきる、ちょっぴり“クズ”な長男・小鉄を演じるのが草彅さんです。

わきあいあいとした雰囲気の2人

―福岡の印象を。

草彅 「福岡といえば僕の大好きなタモリさんの出身地! (井上)陽水さんや(藤井)フミヤさんはじめ、かっこいい“オヤジ”が多いイメージです。『イケオジ』っていうのかな?」

市井 「20年ぶりぐらいに福岡へ来たんですが、水のある場所っていいですよね。川や海や、そういう水がある場所がすごく好きなので、落ち着きます」

取材日の9月17日にかけて「今日はきゅうしゅう、いいな!の日だ」とはしゃぐ2人

―公開してから約1週間。SNSなどでの反応を見て。

市井 「ありがたいことに感想などを拝見することも多く、うれしいという感情が一番です。どんどん大きくなっていくそれらの声こそが、まさに台風だなと思っています。いろんな感想を投稿してもらえればもっとうれしいですね」

草彅 「僕はSNSなどを見ていて手応えみたいなものを感じています。やってやった! みたいな。今日を含めて30回近く舞台あいさつをしているのですが、毎回、見終わった人の顔を見ていると笑みがはじけていたり、泣きそうだったり、さまざまな感情があふれているのが見られます。家族で見に来てくれている人もいて、いろんな世代に見てもらえているんだなとも思います。最近の舞台あいさつで驚いたのが、質問コーナーなのに感想を伝えて満足しちゃった人がいたこと。それくらい“伝えたい”と感じてもらえる思いを、見た人に与えられることができたんだなと実感できました」

「小鉄は周りのキャストから引き出してもらったキャラクター」

―小鉄という人物を草彅さんはどう捉えて演じましたか。

草彅 「何も考えずに挑みました。ここまでクズな役を演じたのは初めてなので、最初はどうしたものかなと思っていて。でも振り切って演じたら気持ちいいんじゃないかと思ったので、とにかくネチネチしたイメージで演じていたら、だんだん愛着が湧いてきました」

―演じる上で工夫したことは。

草彅 「周り(のキャスト)がすごく真面目な人ばかりだったので、自分一人くらい不真面目でもいいだろうと思って、結構適当に挑んだんですよ(笑)。台本もふわっと読むぐらいで撮影に臨んだら、やっぱり微妙に間ができたりして。でもその間が“いい感じ”を出していたので、周りの役者さんさまさまでした!」

市井 「草彅さんの演じる小鉄が見たくてオファーしたので、見ていてすごく楽しかったです」

草彅 「現場が本当に暑かったので、頭がぼーっとして何も考えられなくなったんですが、それがよかったのかなーと。『早く帰りたい!』としか思えなかったです。クーラーが効いていたら『もうちょっとこうしよう』とか小技を効かせた演技をしちゃうんですけど」

「小鉄は台風のような人物」

―監督がこの物語を思いついたきっかけは。

市井 「富山県出身で、18歳で親元を離れた時から、何か親に向けた作品をずっと作りたいと思っていたんです。そのころから構想は頭の中にありました。30歳の時に形が見えてきて、ようやく出来た、という気持ちです。幼い頃富山を直撃した台風に不謹慎にもドキドキした記憶がすごく頭に残っていて、台風を題材に何か作りたいなと。こじつけみたいなんですが、台風の激しさみたいなものが“家族”に通じるものがあるなと思って」

―作品を一言で表すと?

市井 「『夫が妻を海に連れて行く話』です。見た人にはなるほど、と思ってもらえるかな?」

草彅 「僕、今なるほど~と思いました」

キャストの過去の作品などを見返して「キャラクターをブラッシュアップした」と監督

―父親を演じた藤竜也さんがいい味です。

市井 「キャスティングをした後、演じてくれる皆さんの過去作品やインタビューできるだけ見て、どういう人なのかな、どういう演出をしたらその人を生かせるかなと考えました。草彅さんのCMとかも、できるだけ見たんです」

草彅 「そこまで見てくれたんですか! 応えられるような演技ができているといいな」

市井 「それで藤さんのインタビューの中で、『いつ何が起こるか分からないから、寝る前は必ず妻と握手して寝る』という記事を見つけて。これだ! と思いました。作品の芯になる言葉だと思ったし、藤さんの演じる父親は藤さんそのものだと思います」

「長回しは集中力が途切れないのがよかった」と草彅さん

―長回しのシーンも印象的でした。

草彅 「演じ続けることができるので、役にどんどん没入できる感覚があって、僕は好きでした。長回しのシーンで僕が好きなのが、画面の中に収まっていない部分の演技というか。カメラの中に収まっていないところでも演技し続けているんです。ずっと気が抜けなくて、自分がフレームの中にいない時でも意識して演じるのがとてもおもしろかったです」

市井 「僕、元々長回しが好きなんですよね。役者さんそのものがにじみ出てくる感覚があって、撮影していて楽しいので。(小鉄の娘・ユズキ役を演じた)甲田まひるさんは、長回し初挑戦だったそうで、撮影前にミスはできないとすごく緊張していて、ちょっと申し訳なかったけど(笑)。特にラストシーンは甲田さんがばしっとしめるシーンなので、大変だったと思います」

「演じているうちに本物の家族みたいになってきた」と語る草彅さん

―ラストシーンの長回しは何回、撮影を?

市井 「実は1発でOKだったんです。ただ、朝日が入っていたほうが、よりいいシーンになるなと思っていて。そうしたら、キャストたちが『監督、もう1回撮影しましょう!』って言ってくれたんですよ。役者さんがそう言ってくれるのはすごくうれしいことでした」

草彅 「僕以外の人たちが言ったんですよ。僕はもう早く帰りたくて、1回でいいよ! と思っていたんですけど(笑)。でも、順撮り(最初のシーンから順番に撮影すること)で撮影したこともあって、終盤のシーンを撮影するころには本物の家族みたいな、そういう空気があったのでみんながやるっていうならおれもやるぞ、と。自然とそう思える現場でした」

市井 「ラストシーンはすごく気持ちのいいシーンになったと思います」

草彅 「観客のみなさんも、画面には見えない部分の演技、聞こえてくる声に注目してほしいなと思います。“画面の外も楽しめる映画”なので!」

「より多くの人に見てほしい」

―最後に一言。

草彅 「公開日の残りも少なくなってきましたが、1人でも多くの人に作品の良さが伝わってほしいと思っています。見てもらえば必ず何か感動が訪れる作品になっていると思うので、もっとたくさんの人に見てほしいです。今回、映画が公開されるっていうのはこんなに大変なことなんだ、と改めて実感しました。待っていてくれた皆さんのおかげで公開できた作品です。本当にありがとうございます」

市井 「まずは公開できたことが本当にうれしく思います。それは作品を待っていてくれた皆さんのおかげだし、応援してくださったおかげ。届けることができてホッとしています。この映画を子どものように思って作ってきました。だけど手元を離れ劇場で上映され始めた時から、もう観客の皆さんのものです。どうぞ愛してやってください」

しっかりと握手をかわしていました

 インタビュー後に行われた舞台あいさつには、多くの人が詰め掛けていました。上映前の舞台あいさつだったこともあり、「ネタバレしない程度に魅力を伝えるのって難しいね」と話す2人。草彅さんは「自分が演じた中でもすごく大事な役になりました。これまでに演じたことのない役柄で、勉強にもなったし幅も広がった。これからの自分の分岐点になったと思います」と言い、市井監督は「2人で回る舞台あいさつは福岡が最後」と感慨深げ。しっかりと握手を交わす姿に観客は大きな拍手を送りました。

舞台あいさつでの様子

 誰もが家族に対して抱いているであろう感情を鮮やかに描いた映画「台風家族」。日程も残りわずかです。ぜひ映画館で鑑賞してください。
※作品について詳しくは「台風家族」公式サイト

※情報は2019.9.20時点のものです

やはた

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