“真っすぐさ笑って見届けて” 映画「宮本から君へ」主演の池松壮亮さん

 漫画家・新井英樹が熱血営業マンの生きざまを描いた伝説の漫画「宮本から君へ」。昨年ドラマ化されて反響を呼び、ついに実写映画化されて公開中です。“究極の愛の試練”に真っ向勝負で挑む、愛すべき主人公・宮本浩を、ドラマに引き続き演じた池松壮亮さんに話を聞きました。

“究極の愛の試練”に真っ向勝負で挑む、主人公・宮本浩を、ドラマに引き続き熱演

“究極の愛の試練”に真っ向勝負で挑む、主人公・宮本浩をドラマに引き続き熱演

―本作への主演が決まった時の感想を。
 7年前くらいに、信頼している方2人から「これ池松君が演じたら良いよ」と言われ原作を読みました。すると偶然、主演のオファーもいただいて運命のように感じ、これは生半可な気持ちではできないなと。でも、この漫画の力を借り、映画を通じてこの時代に何か力を与えることができるんじゃないかとも思いました。不安もありましたが、期待が大きかったのを覚えています。

―不器用で愚直な主人公でしたね。

 社会では“力なき正義”は、もしかしたら毒かもしれません。結局、宮本は自らを傷つけながら正論をずっと叫んでいるだけです。正論は時に爆弾になりかねないし、危険も伴う。でも、どんな苦難が訪れようと屈することなく、最後に一瞬笑いたいためだけに暴れる。僕の周りにそんな人はいないし、僕もそんな勇気はない。でも(宮本は)自分の清きもの、正しさを突き詰めていくからこそ、最後の行動につながるわけです。  
 もしかしたら、皆が少しずつ宮本のような部分を持っているかもしれません。社会の窮屈さや、目に見えない生き辛さがある現代の風潮を蹴散らしてくれるかもしれない、彼は現代に必要な人かもしれませんね。

同じ福岡県出身の蒼井優さんとの共演も見どころ

「真っすぐな宮本は現代にこそ必要な人かもしれません」

―真っすぐな宮本がうらやましくなる場面もありますね。
 本当にたくさんありました。蒼井優さん演じる靖子の一番近くにいる宮本は、不器用だけど最後には彼女の心の傷を半分に減らすことができたと思います。どんな苦難があろうと、どんな事態になろうと、人は生きていかなければならない。そんなことを宮本なら言ってくれそうな気がして、そういう意味で彼は本当にヒーローです。

―同じ福岡県出身の蒼井優さんとの共演について
 蒼井さんと出会ったのは僕がこの仕事を始めた11歳の頃だったと思います。福岡発のドラマで共演したのですが、当時はお互い本当に人見知りで(笑)。今では近所の姉ちゃんみたいな存在です。その後は数年に1度は共演していますが、また共演できてうれしかったです。しかもこんなにヘビーな作品で(笑)。現場でヘトヘトになりながらも、たわいもない話からお互いの人生の話まで、今回もよくおしゃべりしました。

同じ福岡県出身の蒼井優さんとの共演も見どころ

―池松さんと蒼井さんの演技はスクリーンからエネルギーがあふれるようで圧巻でした。
 宮本と靖子のやり取りは原作がすばらしいので、普通に演技してもすごく見応えのあるシーンにはなると思います。でも演者としては、パワーとニュアンス、心の痛みを役に乗せていくことで、一層(互いに)ぶつかりたい。蒼井さんという優れた着火剤があったからこそ演じきれました。

―久しぶりの福岡はいかがですか。
 年に1度は帰っていますが、もっとゆっくり過ごしたいです。本当に空港に着くと、ホッとするんです。なんでしょう、風が優しいんですよね(笑)。こういうヘビーな作品を撮り終えた後なんかは、地元のスタッフさんの優しさに触れただけで、涙が出そうになります。人前では決して泣かないようにしていますが、ちょっとホームシックですね(笑)。

壮大な2時間のラブレターのような気持ちで作りました。ぜひ劇場でご覧ください!

「壮大な2時間のラブレターのような気持ちで作りました。ぜひ劇場でご覧ください!」と池松さん

―最後に作品の見どころを。
 とある男女が最悪な状況に陥り、それでも明日を生きていく、生きていかなければいけない、というストーリーが軸の明日への逆転劇です。家事や育児、仕事など何でもいい、頑張りたいけど、なんかモヤモヤしている。それでも何か向上したい。そんな人の背中を押すような、壮大な2時間のラブレターのような気持ちで作りました。原作の見せ場でもあるラストの決闘シーンは、彼の真っすぐさを笑って見届けてほしいです。ぜひ劇場でご覧ください!

<プロフィル>
池松壮亮(いけまつ・そうすけ )
 1990年福岡県生まれ。「ラストサムライ」で映画デビュー。2014年に出演した「紙の月」「愛の渦」「ぼくたちの家族」などで第38回日本アカデミー賞新人俳優賞、第57回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。主な出演作に「夜空はいつでも最高密度の青色だ」「万引き家族」「散り椿」「斬、」など。

※情報は2019.10.3時点のものです

秋吉真由美

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