墨絵師・西元祐貴さんの個展「北九州のキセキ」開催! インタビュー

 いま、話題の墨絵アーティスト・西元祐貴さんの個展「西元祐貴 北九州のキセキ展」が10月27日(日)~12月26日(木)、北九州市立美術館分館(北九州市小倉北区)で開催されます。鹿児島県出身で、高校を卒業後プロを目指し福岡へ進出。まずは人に見てほしいと福岡市内の公園で、ベニヤ板に張り付けた紙でライブペインティングを始めたのがスタートだったという西元さんに、話を聞きました。

―書道、絵画、分類するならばどういうジャンル?

 自分の中ではどちらとも言いたくないという気持ちです。書道を勉強したこともなかったので。“新しい墨の形”を目指しています。アクリルや油彩では絵を描いていたんですが、水墨画の経験もありません。むしろこの仕事を始めてから字を書く機会も増えたので、最近書道を勉強しています。

西元祐貴さん

―モチーフもさまざま。どうやって決めている?

 元々、アスリートを描くのが好きだったんです。人物画が自分の原点ですね。そこから派生したにすぎないというか。今回北九州での展覧会では、龍、虎、あとは甲冑(かっちゅう)や武者など歴史ものを多めに展示しています。昨年、福岡アジア美術館(福岡市博多区)で以前展覧会をしたときに人気だった女性画も、今回いろんな画材を使って描いています。

©FBS

―墨以外の使用画材は。

 岩絵の具や顔彩など、基本的には日本画に使用されている画材が多いです。使用している墨は、水で薄めて濃淡を表現しています。

―このアートを始めたきっかけは。

 「自分の描きたいものってなんだろう」と思って、突き詰めていった時に一番良い素材が墨だったんです。墨は本当にごまかしが効かない一発勝負。自分は高校までずっとサッカーをやっていたのですが、墨で絵を描く感覚と試合の感覚が一緒なんです。取り返しがつかない感じというか。そういった、気持ちの面はもちろん技術的にも白黒でしか表現できないことや、墨特有のかすれやにじみで立体感が表現できることが、描きたかったアスリートの肉体を描くのにぴったりだったんです。

明日力人「アスリート」©FBS

―幼い頃から絵は描いていたのですか。

 そうですね、好きでした。ずっと描き続けてきて、高校を卒業してすぐに本格的に絵の勉強も始めました。福岡へは絵の勉強がしたくて来ました。

墨の濃淡でモチーフを表現

―龍のような架空の存在を描くときは?

 龍を初めて描いたのは人に頼まれてから。その絵をたくさんの人から評価してもらいました。それから龍をよく描くようになったと思います。何枚も描くうちに顔の表情だったり構図の取り方だったり、そういう技術が身に付いてきて。架空の存在だからこそ、自分自身と一緒に成長してきたモチーフだな、と思います。

 先日、東京・渋谷の109(イチマルキュー)では「ポケモンGO」とコラボレーションして、「レックウザ」を描きました。本来は緑色のポケモンなのですが、たまに現れるレアなレックウザは黒なんです。それを墨絵の躍動感を生かして描いたら海外の人からも反響をいただいて、うれしかったですね。

「巨大龍」©FBS

―アスリートを描く時は。

 本当は試合会場に足を運んで実際に見て描きたいんですが、ありがたいことにお仕事をたくさんいただくようになってからは、時間がつくれなくて…。でも初めて描く競技はなるべく実際に見るようにしています。あとは動画や写真などで「見て描く」というプロセスを大事にしています。

―一発勝負ということで、失敗もあるのでは。

 昔は多かったです。思ってもないところに線を引いてしまうとか。そうなった時は捨てます。一発勝負というのは自分の中で大事にしているところなので、修正はしません。

©FBS

―今まで描いた作品で楽しかった題材は。

 数多く描いてきたのでパッと思いつかないのですが、今回北九州で出展する武蔵と小次郎の絵はすごくノッて描きました。実際に巌流島(山口県下関市)に行って風景なども撮影して、縦2m×横16mくらいの大きさで描きました。見応えもあると思うし、自信作です。

―描くときは何か考えながら描いていますか。

 いえ、これといって考えてはいないと思います。集中して描いていると、自分でも何を描いたか覚えていないくらい真っ白の状態だし、先ほど試合で例えましたが、試合もトップスピードにのっている時ってなにも考えていなくて。感情が真っ白という感じですね。

―1枚描き上げるのにかかる平均的な時間は。

 展覧会などで飾る、平均的なサイズは90cm×75cmなんですが、それだと1時間かからないくらいです。先ほどの武蔵と小次郎の絵も6時間くらいだったと思います。基本的には何日もかけてずっと描くような絵はないですね。多い時で月に50枚、大体平均して20枚ほどは描いていると思います。

実際に使用している筆

―作品のサイズはどうやって決めていますか。

 今は依頼されて描くことが多いので、展示する場所などに応じたサイズで作成しています。先日イムズ(福岡市天神)で全長約15mの作品を展示した時に、周りの人たちからは「作品を拡大して印刷したんやろ?」とよく言われたのですが、原画です。作品を制作する時にいつも和紙をお願いしている和紙職人の長田和也(おさだ・かずや)さんという人がいるのですが、彼がすごい。それだけ大きなサイズでも1枚の和紙で作ってくれるので。越前和紙は強いので、保存にも向いているんですよ。長田さんはずっとこちらの要望通りの和紙を提供してくれるので感謝しています。

プロジェクションマッピングとコラボレーションした「プロローグ」©FBS

―最後にメッセージを。

 前回、福岡アジア美術館で展覧会を開催した時に足を運んでくれた皆さんにも、新たに楽しんでもらえるように(会場を)つくり上げました。新作も20点以上あります。また、普通に展示するだけでなく、大きな作品に映像を投影させるプロジェクションマッピングなども用意したので、空間全体を楽しんでください。何度足を運んでも新しい驚きがあると思います。どうぞよろしくお願いいたします!

 

「西元祐貴 北九州のキセキ」展
日時:10月27日(日)~12月26日(木) 10:00~18:00(入館は30分前まで) ※土曜は19:30まで
場所:北九州市立美術館分館(福岡県北九州市小倉北区室町1-1-1)
料金:一般1,200(1,000)円、高大生800(600)円、小中生500(300)円 ※( )は前売り
問い合わせ:FBS福岡放送内
電話:092-532-1111(平日9:30~17:00)

※情報は2019.10.7時点のものです

やはた

この記事もおすすめ