“僕なら福岡に帰るだろうか” 映画「いのちスケッチ」主演の佐藤寛太さん

 福岡県の大牟田市動物園が舞台の映画「いのちスケッチ」が11月8日(金)に福岡県で先行公開されます。主人公・田中亮太を演じた福岡市出身の佐藤寛太さん(劇団EXILE)に、作品の見どころや福岡への思いを聞きました。


―完成した本作を見た感想を。

 人間と動物、さまざまな命のすばらしさにあふれていて、見た後に温かい気持ちになりました。脚本を読んだ当初は、亮太が挫折を重ねながらも前へ進み、自分の弱さを見つめ直す物語という印象でした。けれど完成した作品を見ると、瀬木(直貴)監督が目指していた通り、命の尊さに感動したり、亮太の成長する姿に元気をもらったり、見る人それぞれで感じ方が変わる作品だと思いました。
 また、祖母と孫を中心にした家族の絆の物語でもあり、あらがうことのできない時間の流れに折り合いをつけながらも、前へと進む(人間の)力強さを描いた物語でもあります。幅広い世代の人に、いろいろな角度から何かを感じ取ってもらえたら。

―亮太はどんな青年ですか。
 東京で挫折したことで全く知らない動物福祉の世界に飛び込み、それを機に、本当の自分と向き合えるようになります。亮太は決して強い人間ではありませんが、きっと人は「もうだめだ」と思う経験をして、自分の弱さと対峙(たいじ)することができるのだと思います。
 もし僕が東京で挫折したら、果たして亮太のように福岡へ戻るだろうかと考えました。ばったり会った地元の友達に「お前今、何しようと?」と聞かれたらと思うと、ちょっと帰れないですね。でも、亮太が両親に対して感じる申し訳ない気持ちはよく分かります。もし亮太のような状況なら、僕も同じだろうなと思いながら演じました。


―動物との共演はどうでしたか。

 動物園では、まず動物に僕たちキャストに慣れてもらうことから始めました。ライオンの麻酔のシーンは一番印象に残っています。ライオンに直接触れてコミュニケーションをとりながらの演技だったので、すごく緊張しました。一発でOKが出たので、心底ほっとしましたね。
 撮影を通じて、飼育員さんが全力で命と向き合っていることを知り、どんな命も尊いと改めて実感しました。

―武田鉄矢さんとの共演の感想を。
 武田さんは、僕にとっては雲の上の存在でした。一緒に演技をすると、本当に勉強になることばかり。掛け合いのシーンで武田さんのアドリブがあったのですが、撮影後に「よくついてきてくれたね」と言っていただき、感激しました。

―今作は、博多弁で演じていますね。 
 出身の福岡市と大牟田市では、方言が少し違いますが、慣れ親しんだ言葉なので、自分の気持ちをストレートに表現しやすかったです。武田鉄矢さんは、「僕は博多弁を一種の母国語だと思っている」とおっしゃっていました。僕も考えごとをするとき、切羽詰まったとき、感情的なときはいつも博多弁なので、本当にその通りだなと感じました。


―役作りで何が大変でしたか。

 今回、時間をかけたのが漫画を描く練習です。漫画が大好きなのですが、読むと描くとでは天と地ほど違いますね! それでも絵や漫画を描くシーンは、全て自分で描かせていただきました。

―佐藤さんにとって今作は?
 今の僕にしかできない表現や気持ちを込めました。この作品に出合えたことは、僕の宝物です。今作では、登場人物の一人ひとりが動物との触れ合いを通して目の前の困難に果敢に立ち向かいます。見ている人にとっても、命のすばらしさについて考えるきっかけに、そして自分の夢や目標をあきらめずに突き進む後押しになればうれしいです。

<プロフィル>
佐藤寛太(さとう・かんた )
 1996年福岡市生まれ。劇団EXILE所属。2015年にデビュー後、数々の映画やテレビドラマ、舞台に出演。20年1月に劇団EXILE「勇者のために鐘は鳴る」に出演予定。

※情報は2019.10.24時点のものです

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