超話題の自主映画「メランコリック」の監督(福岡県出身!)&主演が語る

 クラウドファンディングなどで集めた約300万円で制作された自主映画「メランコリック」が、めちゃくちゃ話題になっています。
 第31回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門監督賞や第21回ウディネ・ファーイースト映画祭で新人監督に贈られるホワイトマルベリー賞を獲得するなど国内外で高い評価を受けていて、“第2の「カメラを止めるな!」”などとも言われているようです。
 しかも、監督・脚本・編集の田中征爾さんは、福岡県糸島市出身。気にならないわけがない!
 主演でプロデューサーの皆川暢二さんと2人、福岡入りしているというので会いに行きました。
 同作は福岡市では「ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13」(博多区)で10月31日(木)まで、2週間限りの上映予定です。

「メランコリック」主演でプロデューサーの皆川暢二さん(左)、監督の田中征爾さん

「メランコリック」主演でプロデューサーの皆川暢二さん(左)、監督の田中征爾さん

撮影は正味10日間
福岡市で上映されているのを見ていかがですか。

田中 東京で公開されてから1カ月半くらいたっているので、「ずっと気になってました」と声を掛けてもらっていたんです。それだけハードルが上がっているというか(笑)、期待値が上がっていたと思うんですが、それでも「面白かった」と言ってもらえたのは、ほっとしています。

―これだけ話題になっていますし、「福岡の監督だし絶対見なきゃ」と公開を楽しみにしていました。

田中 (福岡の人には)そういう「福岡愛」がありますよね。今回、上映にあたってすごくそういう愛を皆さんから感じました。

皆川 あるよね、すごいなと思うよね。

―ファンファン福岡でも銭湯特集を作ったばかりなんですが、今作の舞台が銭湯というアイデアはどんなタイミングで?

田中 銭湯にしようというのは最後の最後にくっついたアイデアです。最初、皆川くんが言ったのは「アクション映画を作りたい」でした。けれど自主映画という予算規模でオリジナリティーを出していくのは分が悪いだろうとアクション映画はやめることに。そんな中、アクション映画には、主人公たちがとっちらかした殺害現場をさくっと掃除する人たちが出てきますよね、クリーナーみたいな。その人たちの仕事は大変なんだということを描いたら面白いんじゃないかと。そこで出てきたのが「殺人現場の死体の掃除屋の話」というアイデアでした。
 実はこの長編を作るにあたって、同じ題名でパイロット版の短編を作ったんですが、その時は単純に殺害現場の掃除をするバイトの2人の話でした。その後、長編の脚本を書いている時に今作で金髪の松本を演じている磯崎義知くんから、「銭湯にするのはどうかな」とアイデアをもらって。ほぼ出来上がっていた脚本に加えたんです。

―それにしてもあの光景は日本ならではで、外国の観客などが見ると特に独特に感じるだろうなと思いました。「松の湯」さんは、どこにあるんですか?

田中 千葉県の浦安市にあって、実は看板もそのまま使わせてもらっているんですよ。普段営業していて、看板まで使わせてくれるとこなんて多分あそこ1軒しかないですよ、映画の内容が内容だけに(笑)。

―営業していない時間に撮影を?

皆川 午後11時閉店なので、深夜から朝9時までの9時間。その時間帯を使わせてもらいました。

―全体ではどんな製作スケジュールでしたか。

田中 2017年の3月に皆川くんから「映画を作ろう」と言われて。

皆川 短編を作ったのが2017年の8月。

田中 長編の撮影開始が2018年の1月末~2月末。週末の土・日曜日だけなので正味10日間ですね。

―撮影は10日間だったんですね! 映画祭に出品されたのは?

田中 2018年の10月末が東京国際映画祭、それがワールドプレミアでした。

皆川 ちょうど去年の今ごろですね。

田中 確か6月が映画祭の応募締め切りだったので、それに間に合わせるように3、4カ月で編集したんです。「それに間に合わせよう」って皆川くんから言われて。「絶対、無理だし!」と思いながらやってましたね(笑)。

―すごいスケジュールですね、皆川さんもプロデューサーとして大変だったのでは。

田中 (今作の映画を企画・製作した)僕らワングースの3人は誰も商業映画の製作を経験したことがなかったので、プロデューサーって何?っていう状態で(笑)。

皆川 ほんとにそうですよ、何でもする人っていう感じ(笑)。

田中 主演なので、演じてカットがかかった後すぐに雑務のことを聞かれる、みたいな。そういう点はきつそうでしたね。

―当初はアクション映画が作りたかったと言われましたが、アクションシーン、かっこよかったです。

田中 それは磯崎くんの担当なんです。僕はアクションをやりたいという人間ではなくて、皆川くんがアクションのシーンをやりたいと言うので入れているんです。といいつつ、彼のアクションシーンはないんですが(笑)。
 磯崎くんはもともとアクションができる人間だというのは知っていたので、アクションの構成に関しては完全に彼に丸投げ。ああいう場所とか、狭い中でやるとかいうのは、僕は撮影当日に知るぐらいの感じでした。

―当日に(笑)。では磯崎さんの中にプランがあって…?

田中 彼が作った動きを見て「分かりました」といって撮りましたね(笑)。

「自分の同窓会での経験が導入部分ですね」

「自分の同窓会での経験が導入部分ですね」

「作る」と言うだけの人はいるけれど
―今作はワングース3人、それぞれがしたいことを出し合ったという感じですか。

田中 それぞれが出し合ったというよりは、3人ともが面白いと思えるアイデアを一緒に考えたというほうが近いです。やりたいことをミックスしたというよりは、3人が納得できるモノを1つ出したということです。

―お酒を飲みながら話していくとかですか。

田中 いやコーヒーですね、昼間に。

皆川 自分は(酒を)飲むんですが、田中くんと磯崎くんはあまり飲まないので。

田中 しかも子育てしているんで、夜集まるのが難しくて昼間、喫茶店に集まりました。

―子育てをしながら映画も作るという、新しい世代の作り手という感じですね。

皆川 磯崎くんも指圧の専門学校に行きながらですからね、親御さんの仕事も手伝いながら。

―田中さんはIT企業にお勤めですよね。それぞれに別の顔がある。

田中 働いている関係で撮影は土・日曜に集中させてもらっていました。二足の草鞋(わらじ)というよりも、それぞれの状況の中でできることをするしかなかったという感じです。

―皆川さんは俳優業ということでよいでしょうか。

皆川 そうですね。今はこの映画のプロデュースもやっていますけども。映画の完成後ここ1年くらいは、これを広めるためにどうするか、ひたすらそればかりを考えています。

―ワングースを説明すると?

田中 映画製作のフレンズ?(笑)。

皆川 映画クリエーターチームとか…だっせーな(笑)。

田中 (笑)。映画製作ユニットかな。「ずっと続けていこうぜー」という感じで集まったというよりは、3人で集まって始めたので「名前あったほうがいいんじゃね」と軽いノリでつけた名前です。

―それにしても今作は完全に自主映画で、実現力に感心せざるを得なかったです。

田中 作る、作ろうという人はいっぱいいますけどね。長編映画を作るのは大変ですから。

皆川 やりたいと思ったことをやるというのは、自分が生きてきた中で大事にしてきたことだったりするので。

自分が演じられる場を作りたかった

自分が演じられる場を作りたかった

1 / 2

この記事もおすすめ