国や文化を超えて世界をつなげたい アーヤ藍さん(映画配給)

1本の映画が人生を変えることがある。それがドキュメンタリーであったら尚更だ。世界で何が起きているのか、世界にはどんな人たちが、どのような思いで生きているのか、映像を通じて知ることで、リアルな世界が感じられる。いま、自分が見ている世界。それは小さな世界かもしれないけれど、広い世界につながっている。今回、ご紹介するアーヤ藍さんは、そんな「映画の持つ力」を私たちに教えてくれます。

Q)現在のお仕事について教えてください。

A)映画配給会社「ユナイテッドピープル」で、戦争や貧困、環境問題など社会的メッセージの強い国内外の映画を配給しています。私は、字幕やチラシの手配、試写会の企画・運営、HPの更新などプロモーションを主に担当しながらも、小さい会社なので、基本的に何でもやっています。

Q)社会的メッセージの強い映画を選ばれる理由は。

A)選ぶ作品は、環境や人権、社会問題などをテーマにしたものが多いです。ドキュメンタリーが多いですが、それは作品を観た人にそこで起きている現実を知り、エネルギーが沸いてきて、何かアクションを起こしたい!と思ってほしいから。個人のアクションは小さなものでも、一人でも多くの人がアクションを起こすことで世界は良い方向へ変わるかもしれないと願っています。

Q)アーヤさん自身が強く影響を受けた映画はありますか。

A)「ザ・デイ・アフター・ピース」という映画です。「一年に一日でもいいから、戦争や紛争、あらゆる暴力を止めたい」と願うイギリスの俳優ジェレミー・ギリの活動を記録したドキュメンタリー。ジェレミー・ギリは、9月21日をピースデーにするよう世界の指導者に呼びかけ、ついに2001年9月7日(9.11同時多発テロの4日前)に国連によって採択されます。ただいくら国連が「平和の日」を定めても、実際にその日に世界で戦いが止まらなければ意味がありません。そこでジェレミーは紛争地域に自ら赴き、様々な人、企業、団体に働きかけて、ピースデーに停戦が実現することを目指します。

Q)この映画を全国の大学で上映しているそうですね。

A)はい。プライベートの活動ですが、友人と一緒に100大学の学生さんの手で上映してもらうプロジェクトを行っています。昨年2月に始めて、ようやく26大学の学生さんに上映してもらいました。実は、このプロジェクトを進めるなかで、心からの自分の言葉で発信していると感じたことをきっかけに、今の会社に転職しました。

Q)どうしてそのプロジェクトを始めたのですか。

A)現在内戦状態になっている中東のシリアに、大学2年生のとき、約1ヶ月間滞在しました。シリアの人たちはとても親切で、現地の人とご飯を食べた り、おしゃべりしたり。とても楽しい時間を過ごすことができました。 でも、帰国してまもなく、「アラブの春」の民主化運動が激しくなり、現地の友人たちの悲惨で大変な状況を、SNSを通じて身近に感じました。少し前まで一緒にご飯を食べ、笑い合っていた友人達の身に起きていることが他人事には思えず、シリアに役立つことをしたい、そういう想いが強くなりました。そんななかで『ザ・デイ・アフター・ピース』に出会い、まずは365日のなかの1日、ピースデーだけでも、シリアで停戦が実現すれば、と思って、日本におけるピースデーの認知度を高めるために、プロジェクトを立ち上げました。

Q)そうした経験が問題意識をさらに高め、いまの仕事につながっているんですね。

 A)私自身が1つの映画に出会ったことで、自分の人生が大きく変わったので、映像のもつ力に希望を抱きながら、今の仕事をしています。また、ユナイテッドピープルでは、映画と、講演やワークショップ、交流会などを結びつけた「市民上映会」の輪を広げようとしています。映画を通じて、人と出会い、一緒に社会や未来について考えることから、具体的なアクションや変化が生まれうるのではないかとも思っています。

Q)アーヤさんのポリシーを教えてください。

A)感謝の気持ちをもって、心はいつもニュートラルに。でも自分の軸は大切に。 人やモノ、機会に「感謝」の気持ちをもつことが、自分の固定観念にとらわれないための1つの“方策”だと思っています。一方で、心をニュートラルにして人に接していれば、自然と感謝の気持ちも生まれてくると思うので、「循環」かもしれないです。ただ一方で、最終的には自分自身の“軸”で判断することが、仕事において(映画の選定等)も、生き方においても大切だと自分に言い聞かせています。影響を受けやすいタイプなので(笑)。

Q)未来の自分へのメッセージをお願いします。

A)国や文化、宗教等の違いをこえて、人と人が出会える場、お互いを知り合える場をつくることが、高校時代から変わらない夢です。

※5月末まで次回配給のシリア映画に関するクラウドファンディングを実施中。詳しくはこちら⇒ https://motion-gallery.net/projects/return_to_homs

※情報は2015.4.18時点のものです

アーヤ藍さん

映画配給・宣伝事業会社「ユナイテッドピープル」(福岡市西区)で、国内外のドキュメンタリー映画を配給。字幕やチラシの手配、試写会の企画・運営、HPの更新などプロモーションを主に担当している。

福岡の好きなところは?
知らない人ともお店で会話が楽しめるような人との程よい距離感が好き。

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