モザンビークのいのちをつなぐ会 榎本恵さん

アフリカ南東部にあるモザンビーク共和国。この国で、教育支援や公衆衛生設備整備、環境保全などに汗を流す日本人女性がいます。北九州市出身の榎本恵さん。「モザンビークのいのちをつなぐ会」代表で、現地で活動に取り組むほか、日本とモザンビーク共和国の相互理解を深めるため、講演会やイベントなども積極的に開催されています。榎本さんに、モザンビークのお話や現地での活動について伺いました。

 

Q)榎本さんとモザンビークの出会いについて教えてください。

A)2012年8月、日本のバイオ燃料企業のモザンビーク進出をきっかけに、初めてアフリカの地を踏みました。半年間、企業で勤務しましたが、現地が抱える貧困や環境問題を目の当たりにし、それを解消すべく2013年4月、非政府組織(NGO)「モザンビークのいのちをつなぐ会」を立ち上げました。

モザンビークの子どもたち

モザンビークの子どもたち

Q)モザンビーク共和国はどんな国ですか?

A)モザンビークは2001年以降、7%を超える経済成長率を続けていますが、人口の6割は1日の収入がUS$1.25以下の絶対的貧困状態にあります。慢性的な栄養不良や病気で5.5人に1人の子どもが5歳の誕生日を迎えることができません。失業者は50%を超え、教育の質やモラルの低さ、コミュニティの崩壊など、問題をあげれば数えられません。

Q)現地での活動内容について教えてください。

A)私が住んでいるところは、カーボデルガド州の州都、ペンバという地域です。スラム街ですが、ここには親がいない子ども、学校にいけない子どもがたくさんいます。そこで、2013年に土地を購入し、スラムの学舎・寺小屋の建設をスタート。パソコン教室や英語教室、音楽教室を始めています。建設はまだ途中で、今後は防犯のための外壁ブロック、トイレ、電気配線、倉庫づくりなどに取り組む予定です。

Q)公衆衛生教育にも力を入れているそうですね。

A)州都ですら水道から水が出るのは2週間に1度ほど。ゴミの散乱が激しく、不衛生なため、毎年コレラ患者や死者が発生しています。そこでトイレや井戸を村に新設し、インド製カートリッジとタンザニア製バケツを組み合わせて浄水器を製作。今秋には、ペンバ美化青年隊を結成し、家庭や公共の場に散乱したゴミを拾い、整理整頓やゴミ出しのモラルを身につけていってもらおうと思っています。

野外トイレの設置作業

野外トイレの設置作業

Q)現地の人たちと一緒に教育や環境問題に取り組んでいるんですね。

A)はい。私は、支援というのは「お金を持っている人が何かを与える」ではなく、「現地の人が自らの力で解決できるサポートをする」ことだと思っています。食や健康、教育、環境の問題は、お金で解決するような単純なものではありません。自分たちの手で解決の糸口を見つけ、努力を続けることが大事です。現在、モザンビークの現地のNGOと一緒に有機農業に挑戦していますが、彼らが自分たちの手で「食べる」いのちの源を作り、収入を確保することの支援が、長期的な視点で意味のある支援になるのではないかと思っています。

Q)今回、モザンビークに住むマコンデ族のアーティストとともに来日されました。

A)マコンデ族は日本では馴染みがないかもしれませんが、アフリカ美術を代表する伝統的な彫刻作品で注目されている部族です。マコンデ族の文化や芸術を日本に伝えたいと考え、3年の月日をかけてようやく来日公演が実現しました。モザンビークの人気ミュージシャン・ナジャとオズバルドと一緒に8月に来日し、京都や東京など全国40ヶ所以上で公演を開催しています。

(左から)オズバルドさん、榎本さん、ナジャさん

(左から)オズバルドさん、榎本さん、ナジャさん

Q)日本人の反応はどうですか。

A)モザンビーク共和国という国を知らない人も多いですし、公演に来られた方はとても興味深く鑑賞してくれます。音楽だけでなく、マコンデ族の舞踊も披露。アフリカの呪術を切り口にしたトークもとても関心を持って聞いていただいています。

Q)呪術信仰があるんですか?

A)モザンビークでは、今でも日常的に呪術が深く信じられています。呪術には、嫉妬や妬みを解消する「フェティセイロ(陰)」と、病気の治癒や祈祷を行う「コランデイロ(陽)」の2種類があります。憎しみと癒しの両面を請け負う「呪術」信仰はとても興味深いです。

 

Q)一緒に来日した2人のアーティストにとっても来日は刺激になったのではないでしょうか。

A)そうですね。モザンビークに足りないことの一つに、「憧れの大人」が挙げられると思います。子どもも大人も日々生きていくことに精一杯で、子どもたちが憧れるような大人が少ないのが現状です。ナジャやオズワルドは、モザンビーク最大の音楽祭で2回連続受賞経験がある人気ミュージシャンで、数少ない「憧れの大人」に挙げられるかもしれません。彼らにとって来日の経験はかなり大きなものになると思いますが、故郷に戻った後、その経験を現地の人たちに少しでも還元し、さらに子どもたちに夢を与える大人になってくれたらと願っています。

Q)日本の人たちにメッセージをお願いします。

A)若い人たちには、楽な道を選ぶのではなく、リスクを背負ってでも何かに挑戦した方が自分の世界が広がると伝えたい。シニア層、シルバー層には、これまでの人生経験を存分に次の世代へ注いでいただきたいと思っています。

アフリカ・マコンデ族の音楽と文化交流(福岡公演)

10月17日(土)

14:00~16:00

カボチャドキヤ国立美術館(北九州市門司区)

18:00~

旧門司文化服飾学院(北九州市門司区)

10月23日(金)

19:00~21:00

箱崎水族館喫茶室(福岡市東区)

10月24日(土)

19:00~21:00

大陸食堂三千世界(福岡市早良区)

10月25日(日)

15:00~17:00

イエナコーヒー(福岡市中央区警固)

19:00~21:00

酒場 月(げつ)(福岡市中央区警固)

 

モザンビークのいのちをつなぐ会⇒https://www.facebook.com/tsunagukai

 

 

 

 

※情報は2015.10.17時点のものです

この記事もおすすめ