子育てしながらキャリアも積む、次のステージへ 資生堂執行役員美容統括本部長・副島三記子さんに聞く

今回ご登場いただくのは、資生堂執行役員美容統括本部長の副島三記子さんです。

副島さんは、佐賀市のご出身。美容部員から実績を積み上げ、本社の商品開発部や子会社「ディシラ」の社長などを経て、2016年1月に現職に就任し、全世界約2万2千人の美容職を統括する美容部門のトップとして活躍されています。副島さんに、仕事への思いを聞きました。

――佐賀で美容部員として働いていたのですね。

17歳のときに見た資生堂のメーキャップのポスターに心を揺さぶられて、高校卒業後、資生堂佐賀販社(当時)に美容部員(ビューティーコンサルタント、BC)として入社しました。とにかくメーキャップが大好きで、通勤にバスで片道2時間かかってもまったく苦にならず、毎日が楽しくて仕方ありませんでした。地元が大好きだったので、「一生ここで働きたい」と思っていました。

――キャリアアップの転機は何だったのでしょうか。

入社10年目に、東京で2カ月間のメーキャップの研修を受けたことです。それまで佐賀からほとんど出たことがありませんでしたが、最先端の技術を学び、周囲の人たちの意識の高さに刺激を受け、一気に価値観が広がりました。「新しい世界に飛び込んでみたい。よりレベルの高い場所で自分を試してみたい」という気持ちが芽生えたのです。その後、グループ会社への異動、まったく未経験だった商品開発部門への異動などの話が来たとき、チャンスだと思って飛び込むことができました。

――近年、BCの働き方を見直したことで注目されましたね。

2014年4月から、子育て中で短時間勤務をしているBCにも、お店が忙しい平日夜や土日のシフトに入ってもらうよう求めています。売り場が混み合う時間帯というのは、さまざまな接客経験が積めるスキルアップの場。それまでは慣習的に土日や夜間のシフトから外れていたため、キャリアの阻害になっていました。一部の社員に負担が集中してしまっているという状況もありました。そこで、BCと面談を行い、個々の事情を把握した上で支障のない範囲で協力を要請しました。結果、フルタイム勤務に戻した社員、月に1度遅番に入る社員などさまざまですが、98%が従来の働き方を改めました。

――見直しが報じられたことで、世間から賛否両論の声が上がりました。

弊社は、法施行より2年早い1990年に育児休業を導入し、91年には子どもが小学3年まで利用できる短時間勤務制度を導入しました。2007年には、BCが短時間勤務制度を利用する際に代替要員の「カンガルースタッフ」を補充する制度も作りました。その結果、国内のBC約1万人のうち短時間勤務者は1100人以上。10年で約3倍となりました。仕事と子育ての両立は当たり前にできる制度が整っていました。これからは、子育てしながらキャリアも積む、次のステージへと進んだと考えています。

――女性のキャリアと家庭生活の両立をどう考えますか。

今回、働き方の見直しを行う中でBCたちから「夫と初めてキャリアについて話すきっかけになった」という声がたくさん上がりました。結婚や出産、子育て、病気、介護…さまざまなライフステージの中で、働き方を変えなければいけない時期は、誰にでも訪れます。どんな働き方をすればいいのか、どんなサポートがあればいいのか、家族としっかり話し合うことが大切です。自分や周囲の環境が変わることは誰しも不安です。でも、「変化」は成長するためのチャンスです。恐れずにどんどんチャレンジしてほしいと思います。

後輩たちへの指導をする副島さん

後輩たちへの指導をする副島さん

――BCの仕事の魅力は

BCの仕事は、化粧品を販売するだけではありません。目の前のお客さまをどのようにしてきれいにして喜んでもらうか。化粧で美しくなったお客さまが、パーッと笑顔になる瞬間が見られる、メークで人を幸せにして自分も幸せになれる仕事だと思います。私の原点は店頭にあります。さまざまな部署を経験しましたが、「もし自身が店頭に立っていたとしたら、お客さまにどう接するか」ということを常に考え、行動してきました。

――今後の抱負を聞かせてください。

インターネットが普及し、化粧品や美容法に関する情報は誰もが簡単に入手することができるようになりました。そんな中でお客さまの価値観やニーズは多様化しており、かつてのようなマニュアル化された接客では、お客さまの心をつかむことはできません。これからの時代は、お客さま一人一人に寄り添い、その人が求めている美を一緒に考え、一緒に見つけていく、そんなBCが求められています。7月からはBCの育成を担うリードBCを全国に850人配置しました。これまで以上の対応力の強化とキャリア意識の醸成を図り、お客さまから信頼される「美のプロフェッショナル集団」をつくっていきたいです。

※情報は2016.7.2時点のものです

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