
美意識のある食空間を演出 大塚瞳さん
—美意識—
大塚瞳さんを前にすると、“美意識”が形になって見えるような気がします。選ぶ器、手掛ける料理、空間、そのすべてが、大塚さんの目を通し、一つの作品として完成した時、その美意識が確かに“存在”し、調和のとれた形になっています。
料理家であり、食を取り巻く空間全体の演出家である大塚さんは、九州を中心に全国を駆け回り、最高の食材と器を使った“食のおもてなし”の達人です。人の心を魅了するその訳をいろいろと伺いました。
―食空間プロデューサーになったきっかけを教えてください。
幼いころから食べることが大好きでした。好き嫌いがなく、外食した際には、“食べたものを自分でも再現して作ってみたい”と思っていました。時間があると世界中を旅し、その国特有の食文化や生活そのものに触れてきました。
室礼やテーブルコーディネート、料理研究家の元で本格的に料理を習い始めたのが大学在学中の19歳。
ある夜、招かれたパーティーでフランス人の男性に頂いた名刺に“夜会プロデューサー”という肩書きを見つけ、そんな職業があるんだ・・・と驚きました。私もそんな夢のある仕事をやってみたいと思い、在学中の2004年、居心地の良い空間で過ごす食のひとときをテーマに“Life Decoration”を立ち上げました。以降、料理家・食空間プロデューサーとして活動しています。
―料理に使う食材には独自のルートがあるそうですね。
私の料理は、農家も漁師も猟師も、調味料に至るまで生産者と直接取り引きしています。自ら訪ね歩いて知り合いました。現在、九州を中心に100軒くらいの生産者の方とお付き合いしています。
―そんなに多くの生産者とどうやって出会われたのですか?
最初はGoogle Earthの航空写真で「あ!ここに畑がある!」と、そのまま車を走らせて現地へ行きました。タイミングよく農家の方が作業していらしたら、話しかけ、試食させてもらい、農法をはじめ様々なことを教わりました。農家の方がまた新しく紹介してくださったこともあり、とても恵まれました。これまで出会った生産者は1000人以上。道の駅に農作物を出荷している生産者に話しかけて仲良くなったことも。ナンパみたいなものですね(笑)
―陶芸家とのお付き合いも多いとか?
私が生まれ育った九州は特に陶磁器文化が多いところですが、他の土地の陶磁器にもとても興味があります。料理は器に盛られてさらに美味しくなるし、器も料理が添えられ存在感が増します。いただく空間も、そこにいる人も同じこと。それぞれ切り離して考えるのではなく、食を取り巻くことをたくさん教えてもらっています。
―今年は有田焼創業400年。李荘窯の寺内信二氏の器とのコラボレーション料理会を開催されました。
料理を通じて陶芸家と生産者、消費者がつながる素敵なイベントとなりました。地産地消という言葉がありますが、その土地ならではの食材や文化があります。食材も佐賀県のものに特化し、有田焼に盛りました。食を通して400年という記念の年に関わらせていただいたことに感謝しています。
―大塚さんが一番好きな料理は?
白いご飯とお漬物です(笑)。うまい米を炊くこと、季節の野菜で漬物を漬けることはどんなに忙しくても欠かさず続けています。毎回新しい発見があって、同じことが一度もない。だからやめられません。
―ご自身の店を持ったりはしないのですか?
お店を持ちたいと思ったことは一度もありません。じっとしているのが苦手で、いろいろな所に出掛けて行って、人や食材、器と出会い、「ここでこんな料理を食べたいな」「この器であんな料理を盛り付けたいな」と考えることが楽しみです。
―今後の夢を教えてください。
夢と言われるといつも答えが難しいですね。
実現したいなと思ったことはできる範囲で形にしてきました。ただ、伝えたいなと思うことはたくさんあります。なので、次は書籍を作りたいなと思っています。それから、いつも機嫌よくいたいと思っています。常にクリーンな気持ちで居られるように心がけています。料理と食空間を作ることは、そこに来てくださった人との温かく楽しいひとときを過ごしたいから。そのパワーを感じることが何より大好きです。
※情報は2017.1.7時点のものです
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