北野大先生のお話をきいて「海洋汚染」について考えました

 先週末18日(土)、福岡市早良区のソフトリサーチパークで淑徳大学教授の北野大(まさる)先生が「海洋汚染」について講演をされました。

 

 北野さんは、誰もがご存知のタレント・ビートたけしさん(もしくは映画監督の北野武さん)のお兄さんです。今回の講演でも、「自分がたけしの兄貴だと言われることはあっても、武がまさるの弟だ、と言われることは無い」と自虐的に笑ってましたが、それでも大変うれしそうでした。きっと仲の良い兄弟なんでしょう。

 知りませんでしたが、北野大さんは、ずいぶん前に久留米に住んでいたこともあり、福岡という街にはなじみが深いんだそうです。 

 お兄さんも、ギャグのセンスあります。冒頭、「1時間寝ててもいいですけど、ある人の統計調査では、こういう時ずっと寝てる人は大体年とってから寝たきりになってます」と笑わせます。おかげで、最後まで寝る人はいませんでした。

 太陽系の中で地球の温度は15度Cで唯一「液体としての水」が存在するそうです。それにより、38億年前に藻類が発生、生物に進化するきっかけになったと言います。

 水の化学記号はH2Oですが、酸素と水素の分子が1ピコ(0.000 000 000 001 )秒という信じられない短い時間で水素結合の相手を変えているそうです。北野先生によると、「水の世界では重婚が許される」そうです。

 余談ですが、カワタニ君も、「水の世界」の住人であれば、活動休止しなくても済んだかもしれません。しかし、「ピコ秒」も、ピコ太郎みたいで、思わず笑っちゃいますね。

 カタイ話になりますが、化学物質としての水は「比熱が大きく体温や地球の気候を安定化」させています。気候が30年周期という長い期間で変動するのもそのためです。

 文学的になると、鴨長明が方丈記の冒頭で、「ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」と書いたように、私たちの心象風景にも「水」はしばしば大きな意味を持つようです。

 資源としての水の価値になると、言うまでもないでしょう。水不足は食糧危機に直結しますし、成分のほとんどが「水」である人間などの生き物は水をとることなく存在できません。

 そして、地球上の表面の70.6%を占める「海」という「水」の話になります。私たちは、いちいち「海の定義」を考えたこともありませんが、「地球上の表面のうち、海水で覆われた部分」と考えるそうです。

 海には、〇太陽からの熱を海流や大気で低緯度の地域から高緯度の地域にはこび、蒸散作用により大気に水分を補給する 〇人間が放出する二酸化炭素の約30%を吸収し、温暖化を緩和する 〇石油やメタン、海洋エネルギーなど多様な形でエネルギーを供給する 〇漁業や鉱物採取の場となる・・・といった重要な役割があります。

 その大切な海の汚染の原因は〇家庭や工場など「陸」から排出される汚染物質 〇窒素酸化物など大気から雨で流れ込む汚染物質 〇干潟などの減少による浄化機能の低下 〇船舶の廃油、廃棄物等の投棄 〇漁獲資源の乱獲による生命循環の乱れ ・・・などがあります。

 多くは、人間の活動によるものですが、産業革命以前の海の平均的なpH8.17から現在は、8.06にまで低下、酸性度が進んでいます。難しくなりますが、大ざっぱにいえば、炭酸カルシウムの生成が困難になり、今の生物の環境への適応ができなくなることを指すそうです。

 赤潮や青潮の発生、サンゴ礁の白化などは誰もが聞いたことがあると思いますが、海洋汚染の影響は確実に進行しています。

 今回の講演で、「生物濃縮」という言葉を初めて知りましたが、知恵蔵によると、「外界の特定の物質が食物連鎖を通じて高濃度に生物体内に蓄積されること」だそうです。その最大に悲劇が、私たちの住む九州で起こり「水俣病」です。汚染された海の魚を食べたことにより発症した病は、今も多くの方が苦しむ社会問題です。

 「海の熱帯林」「海のオアシス」と呼ばれるサンゴ礁も、〇海に生息する動物の4分の1が暮らし、それ以外の魚も産卵や稚魚の成育に利用 〇海水の二酸化炭素の濃度調節作用 〇強い海流や高波を和らげる防波堤の機能 ・・・など多くの役割を担っていますが、水温上昇により藻類の光合成が妨げられることによる白化やオニヒトデの異常発生による食害、土砂の流入や生活排水による汚染・・などにより危機的な状況を迎えています。

 また、「マイクロプラスチック」という耳慣れない物質の問題が、一昨年6月のドイツでのサミットで取り上げられました。プラスチックごみ自体が海洋ごみの約70%を占めるそうですが、大きさが5ミリ以下のサイズになると、海鳥の誤食や化学物質としての吸着など見えづらい問題を引き起こします。

 化粧品や工業用研磨剤などにスクラブ(汚れ落とし)剤として使用される数ミクロンから数百ミクロンのビーズ状のプラスチックは軽くて水に浮き、細かすぎて下水処理で除去できず、海に流れ込むという循環が起こります。

 普通のプレスチックも海に入り込んだ後、紫外線や外部の圧力で細かくなり、ナノレベルの粒子のマイクロプラスチックに変化します。PCBのような汚染物質を吸着したうえで、生物に誤飲されると、重大な影響が生物全体に及びます。

 「マイクロプラスチック問題」を起こさない、小さくするためには、〇釣り糸や紙おむつなどの原料に「生分解性プラスチック」を使用したものを購入する 〇海にゴミを捨てない 〇プラスチックを事前回収するための海岸清掃・・・など、私たちに出来ることもありそうです。

 北野先生のお話は1時間ピッタリ。コンパクトな間に海洋汚染の現実と私たちの心構えを知る充実した内容でした。相当深刻な現状ですが、最後に北野大さんは、「われらに燃ゆる希望あり」と、母校の明治大学の校歌の一節を引用して、「決してあきらめてはいけない」という気持ちを伝えて下さいました。

 ゴミをきちんと分別して処分する、地球を汚さない原料を使った製品を意識して使う、一人ひとりが出来ることは小さくても、みんながそれを実践すれば、大きな効果を生むことを信じていきたいですね。(了)

 

 

 

※情報は2017.2.22時点のものです

この記事もおすすめ