フランス映画界注目の新鋭 女優ルー・ドゥ・ラージュさんインタビュー

フランスの女優ルー・ドゥ・ラージュをご存知ですか。

©Eric Guillemain

©Eric Guillemain

1990年、ボルドー生まれ。2013年の「世界でひとつの金メダル」(クリスチャン・デュゲイ監督)でセザール賞有望女優賞を受賞。2014年の「呼吸―友情と破壊」(メラニー・ロラン監督)に主演し、その美しさと才能を知らしめました。

さらに8月5日から福岡市のKBCシネマで公開される「夜明けの祈り」(アンヌ・フォンテーヌ監督)にも主演。フランス映画界で最も注目されている新鋭です。

「呼吸―友情と破壊」が上映された「フランス映画祭2017 in 福岡」(6月23日~25日)のゲストとして来福。その際に同作品の演技や映画の制作現場などについてお話をうかがいました。

―「呼吸―友情と破壊」は高校を舞台に、ルー・ドゥ・ラージュさんが演じる美しく奔放な転校生サラが優等生シャルリと仲を深めるうちに、狂気を秘めた危うい関係になっていく映画です。

サラはどちらかといえば〝悪役〟で、自分とかけ離れた人物を演じることは、ある意味楽しいことです。シャルリとの関係でいえば、1.自分が光り輝いて相手を魅了する 2.引き付けてコントロールし、今度は突き放して孤立させる 3.バンパイアのように精神を吸い取っていく―という3つの局面をたどります。このような病的な人物像を徹底的に勉強しました。

―メラニー・ロラン監督から指示を受けた点は?

実は撮影に入る前、監督や共演者と数日一緒に楽しく過ごしました。監督はサラを意地悪な人間として描くつもりがなく、ドラマチックでない普通の高校生の生活を描くことが大切だと考えていたんです。そんな日常から、だんだんカメラがシャルリに寄っていき、彼女が感じている音や自身の呼吸音などが中心となり、彼女の世界に観客が共感を覚えていく。「呼吸」というテーマ通り、音やカメラワークも作品の重要な要素でした。

―女優はいつごろから目指していたのですか。

子どものころ、両親が演劇講座に入れてくれて、フェスティバルなどにグループで参加していました。ですから女優になるのは単なる夢ではなく、確固たる進路だったのです。高校を卒業し、ボルドーからパリに出て演劇学校に入りました。ですから女優としての活動も舞台が中心で、映画のことは考えていませんでした。映画の話が来たときは幅を広げるチャンスだと思いましたが、舞台をやめるつもりは全くありません。

―映画と舞台はどう違うのですか。

舞台は幕が上がったら演出家はいない。長距離走のようなものです。一方、映画はスプリントを繰り返す感覚。最初、前にお客さんがいないので「誰に見せるんだっけ」と戸惑いました。でも、演技者の細かい所まで映すのが映画。自分の中の真実をどれだけ持ち込むことができるかが試されます。

―最新作「夜明けの祈り」はどんな作品ですか。フランスとポーランドの合作ですね。

第二次大戦直後のポーランドが舞台。ロシア兵に乱暴を受けた尼僧たちと出合う若い医師マチルドを演じています。テーマは重いですが、再生へ向けてマチルドが尼僧たちの希望となっていく物語です。撮影はカメラ以外、クルー全員がポーランドの人たちでしたが、言葉でコミュニケーションができない分、分かりあおうとするので、より速く、より深く通じ合うことができました。

<インタビューを終えて>

「呼吸―友情と破壊」で見せるサディスティックな表情が強烈で怖い人かと思ったら、小柄でキュートな女優さんでした。スチール写真だけでなく「こちらで撮った写真も使っていいですか」と聞くと「ものすごく醜く写っていなければ自由にどうぞ」と、すごく自然体。出身地で福岡市の姉妹都市ボルドーは「どんどん美しく、居心地のいい街になっている。人もたくさん来ているので、さらににぎやかになる前に訪ねた方がいいかもしれない」と話してくれました。

(suehiko ide)

※情報は2017.6.26時点のものです

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