福山雅治×役所広司『三度目の殺人』 是枝裕和監督インタビュー

2017年9月9日(土)公開の映画『三度目の殺人』。『そして父になる』、『海街diary』の是枝裕和監督最新作で、福山雅治さんとの再タッグに役所広司さんら豪華キャストが加わっています。福山さん演じる弁護士の重盛と役所さん演じる殺人犯の三隅、そして被害者の娘・咲江(広瀬すずさん)との間で深まる謎。「真実」はどこへ行くのか…。是枝監督のオリジナル脚本で描いた法廷心理ドラマです。

公開を前に、映画の見どころや思いを監督に聞きました。

○今回「弁護士」にスポットをあて、“司法”をテーマにした理由は?

是枝:弁護士の仕事を撮りたいと思っていました。実は、主人公の重盛は、『そして父になる』で法律監修をしてもらった弁護士さんがモデルになっているのですが、その方が「法廷は真実を明らかにする場所ではなく利害を調整する場所」と言っていたんです。それを聞いた時ゾッとした反面、ある意味誠実だなと思いました。現場に立ち会っていない、「真実」を知らない弁護士や検察官、裁判官によって判決が下されるわけですから。ちゃんとわからない前提で仕事をしているんだなって。「真実」は本来わからないものなのに、人が人を絶対的に裁くということが恐ろしいなと思ったんです。だから、単に司法のシステムを映すのではなく、「人は人を裁けるのだろうか?」、「人は人を理解することができるのだろうか?」ということを見た人に考えてもらえるように描きました。

○弁護士の仕事や裁判の流れなど細やかに描かれていますが、脚本はどのように書かれましたか?

是枝:脚本を書くにあたって、弁護士さんたちに協力してもらって模擬裁判をやりました。半年くらいかかって大変だったんですけど。その中から実際のやり取りをもとにしているので、かなりリアルにできていると思いますよ。ですので、僕が脚本を書いたというより、ヒアリングしたような感じですね(笑)。

○弁護士と犯人が対峙する接見室のシーン。作中で度々出てきますが工夫したところは?

是枝:蛍光灯の光とコンクリート、ガラス越しの画となると、そんなにもたないかなと思っていましたが、やってみるとここがいちばん(重盛と三隅の関係が)動くのかなと思いました。役者の芝居を見て、接見室のシーンを増やして、これを軸にして構成を練り直しました。7回も出てくるので、どのタイミングでカメラが動くのかなど、二人の関係の変化に沿ってすべて撮り方を変えました。

○今回役所広司さんを初めてキャストに迎えてみていかがでしたか?

是枝:役所さんは日本でいちばんうまい役者だと思っています。何を演じても“そのもの”に見える。本当に(犯行を)やったのか、善人なのか悪人なのかわからないように見せたくて、役所さんならそれができると思って書きました。また福山さんも、役所さんと対峙することでいままでなかった面が引き出せるチャンスだと思っていたので、それを見事に演じてくれてよかったと思います。接見室のシーンの演技も素晴らしくて、(役所さんと福山さん)二人とも集中しすぎて酸欠になってましたよ(笑)

○本作がベネチア国際映画祭への出品が決定した時はどうでしたか?

是枝:デビュー作『幻の光』以来22年ぶり。自分のキャリアがスタートした場所でもあるので感慨深いですね。当時の受賞がきっかけで(映画を)続けてこられたと思うので、成長した姿を見せられるといいなと思っています。

【ストーリー】
勝利にこだわる弁護士重盛(福山雅治)が、やむをえず弁護を担当することになったのは、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所広司)。解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴されている。犯行も自供し、このままだと死刑はまぬがれない。はじめから「負け」が決まったような裁判だったが、三隅に会うたびに重盛の中で確信が揺らいでいく。三隅の動機が希薄なのだ。
彼はなぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?裁判が佳境に入ると、なぜかそれまでの証言をひるがえす三隅。重盛の視点で絡み合った関係者たちをつなぐ糸が紐解かれるにつれ、それまでみえていた事実が次々と変容していく―。

『三度目の殺人』
■監督・脚本・編集:是枝裕和(『そして父になる』『海街diary』)
■撮影:瀧本幹也(『そして父になる』『海街diary』)
■音楽:ルドヴィコ・エイナウディ(『最強のふたり』)
■出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず、斉藤由貴、吉田剛太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功
■配給:東宝、ギャガ
【映画公式サイト】gaga.ne.jp/sandome
(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ

※情報は2017.8.21時点のものです

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