書店員さんに聞く!映画「散り椿」原作者 葉室麟さんの偏愛作品トップ3

映画をきっかけに原作本に手をのばすのも、読書の入り口の一つです。

この秋公開される映画「散り椿」の原作者である葉室麟さんの作品について、リブロ福岡天神店の書店員 福川キャサリンさんに偏愛作品を聞きました。

葉室麟ってどんな作家?

一口に時代小説と言っても、さまざまなタイプの作品があります。葉室先生は、藩で生きる武士についての作品を多く書かれました。なんといっても特徴は、主人公の多くが高潔な精神の持ち主であるということ、女性が愛情を持って描かれているということ、そして九州を舞台にした作品が多いということ。たくさんの人の心の琴線に触れる物語が描かれるので、ファンも多いのだと思います。 葉室先生は、新聞記者から作家に転身。福岡に住みながら、多くの時代小説を執筆されていましたが、昨年急逝されました。実は一度、食事の席をご一緒させていただいたことがあります。本当に博識でダンディな魅力に溢れた方でした。まだまだたくさんの作品を読ませていただけると思っていたので、本当に残念です。

 

《わたしの偏愛作品 トップ3》

3位/山桜記(文春文庫) 648円

女性にフォーカスした作品からなる短編集です。なかでも私が大好きなのが、最初に収録されている「汐の恋文」。朝鮮出兵時、夫にあてた手紙が豊臣秀吉に見つかってしまい、興味を持った秀吉は、その妻を呼び寄せ…という物語。葉室先生は、芯を持った静かに強い女性を、愛情深く描きます。こんな時代にも、心を通わせていた夫婦がいたのだな、と胸がきゅんとするような恋愛小説です。ぜひ女性にも読んでいただきたいですね!

 

2位/秋月記(角川文庫) 734円

 

秋月藩を舞台に、間小四郎という実在の人物が、藩のために奔走する姿を描きます。秋月はいまではすっかり趣のある観光地ですが、こんな時代があったのだなぁと感慨深く読めるのも、福岡県民の特権ですね。特に私が好きなのは、仲間たちとともに成長していく若い時代のパート。まるで青春小説のようで、どんどん読み進めることができます。本作は、直木賞・山本周五郎賞にノミネートされた力作です。最後は思わずホロリとさせられる、「泣ける本」でもあります。

 

1位/蜩ノ記(祥伝社文庫) 741円

直木賞を受賞し、映画化もされた作品です。主君から冤罪によって切腹を求められる主人公。残りの命をいかに生きるか? という命題に、主人公の心の機微と周りの人達との心の交流が丁寧に描かれます。途中で、なぜタイトルが「蜩ノ記」というのかの種明かしがありますが、「なるほど!」と膝を打つはずです。ヒグラシは秋の季語。夏の終わりを思いながらの読書はいかがでしょう? ロバート・キャンベルによる、文庫版の美しい解説も必読です。

 

偏愛セレクター リブロ福岡天神店/福川キャサリンさん
実用書の担当として、新しいメソッドのダイエット本に目を光らせる日々。一方で、個人的に愛読する時代小説を紹介したり、10月23日より開催されるブックオカで実行委員として活躍したり。最近は田口幹人編著「もういちど、本屋へようこそ」(PHP研究所)で一章を担当。


☆絵本コーナーにて読み聞かせ開催中!
毎週土曜日午後2時〜

リブロ福岡天神店
福岡市中央区天神2丁目5番35号 岩田屋本店本館7階
TEL.092-717-5180

※情報は2018.9.20時点のものです

岩田屋

住所福岡市中央区天神2丁目5番35号
TEL 092-721-1111(代表)
URLhttp://www.i.iwataya-mitsukoshi.co.jp/index.html

関連タグ

この記事もおすすめ