あるあるが詰まった漫画「拾い猫のモチャ」福岡の作者・にごたろさんが語る

 “あるある”が詰まった4コマネコ漫画「拾い猫のモチャ2」(KADOKAWA、税別1,100円)が7月25日に発売されました。以前、ファンファン福岡で1巻を紹介しましたが、新刊も笑いと癒やしの緩急がクセになる作品です。作者のにごたろさんは、福岡県内に住みながら、2018年3月からツイッターで同作品を毎日アップしています。会って話を聞きました。

「拾い猫モチャ」の作者、にごたろさんに会いました

「拾い猫モチャ」の作者、にごたろさん。かっこよくて優しい雰囲気

―こんにちは。きょうはよろしくお願いします。1巻(2018年12月発行)を読んだ時は、実話エピソードが描かれていると勘違いしていました。
 そう思われている人も多いようなのですが、今は家でネコを飼ってないんですよ。ただ、物心ついた頃から実家(熊本県)には何匹もネコがいましたし、23歳で福岡に出てきて1人暮らしをしてからも飼っていましたので、その経験をもとにしたフィクションです。
 実は、自分で飼っていた最愛のネコを亡くした時、事故だったこともあって僕自身も深く傷ついてしまって。ネコのことを考えるのさえ嫌になり、とても飼える状況ではなかったんです。そんなこともあって、飼っていない時期が長くなりました。

―そうだったんですね。さて、読者からは「これうちのネコのことじゃない?」といった声も多いそうですね。確かに“あるある”がいっぱい詰まっています。私もついつい笑ってしまいました。
 自分の家のネコのこととして読んでくださっている人が多く、それは狙っている点でもあるので、うれしいです。キャラクター化されたネコだとリアルに感じられなくなってしまうので、気を付けています。

「拾い猫のモチャ」1巻(左)、2巻

「拾い猫のモチャ」1巻(左)、2巻

―主人公ネコのモチャには、モデルはいるんですか?
 それが、特別にはいないんです。モチャは「オスの三毛猫」なんですが、オスの三毛猫は生まれる確率が低くて、あまりいない種です。エピソードがリアルでノンフィクションと思われがちなので、フィクションの部分として、そう設定しました。それと、オスの三毛猫は縁起が良くて幸運をもたらすといわれていますので、僕らに幸せを運んでくれる存在になってくれればなという願いもありました。

1巻は

「モチャは幸運を運んでくれるオスの三毛猫です」

―新刊では、新しいネコのミルクが登場しますね。かわいいです!
 ネコの成長をリアルに描きたいと考え、僕の人生で一番かわいがったネコをモデルにして、成長過程を思い出しながら描いています。きれいな顔立ちだったんですよ。写真があるので見ませんか?(と見せてくれる)

左がミルク、右がモチャ

左がミルク、右がモチャ

―本当にきれい。ちょっとつり目でミルクに似ていますね! ところで、漫画家としてのキャリアを教えてください。
 随分昔、20代前半の頃にコミック大賞に応募した4コマのギャグマンガが佳作を受賞したことはありますが、その後は趣味で描いていたくらいです。ナンセンスギャグのマンガが好きで、吉田戦車さんやいがらしみきおさんの作品が好きです。

―ツイッターで作品を公開し始めたのはなぜでしょう。
 2017年に母を病気で亡くしたのですが、母は晩年、その日にあったことを俳句にして記録し「私の日記、生きた証し」と言っていました。認知症を患いながらも毎日続けていたその姿を見ていて、僕がそれを引き継ぎたいと思いました。僕ができるとしたらマンガを描くこと、毎日描くならツイッターにアップするのがいいだろうと考えました。どこか母に見せるような気持ちで(2018年3月から)描き始めました。
 それからは(午前)9時―(午後)5時で仕事をして、帰宅してから夜にマンガを描いて毎日ツイッターにアップするというのを1年間続けていました。

―そしてツイッター上で評判になりコミック出版に至ったわけですね。
 「(自社の漫画雑誌で)連載しませんか」と声を掛けてくださるところもありましたが、KADOKAWAさんは、ツイッターでの発表は継続するという部分は自由に任せてくれつつ、コミックを出そうと提案してくれました。 

―ツイッターでの公開にこだわっているのですね。
 「ツイッターで描くなんてお金にならないのに、どうして続けるの?」と妻に言われたりもしますが(笑)、毎日1本描くことを大事にしています。あ、でも、今年3月からは仕事を辞めて漫画制作に絞り、2巻の描き下ろしなどに時間を使いました。もちろん、1日1本も続けています。

ファンファン福岡をチェック「天神に出てきたのでランチはどこがいでしょう」

ファンファン福岡をチェックするにごたろさん。「天神に出てきたのでランチはどこがいいでしょう?」

―描き下ろしにも力を込められた2巻、ミルクもいるし表紙の色合などとてもかわいいです。
 今回はピンクですね。(漫画家の)羽海野チカ先生が帯のコメントを書いてくださったりしています。

海羽野チカさんも大好きなんですねー

羽海野チカさんもモチャやミルクのファンなんですね!

―登場人物の女子高生は、にごたろさんの3人の娘さんがモデルですか?
 いえいえ、どちらかというと「こういう娘だったらいいな」という部分かもしれません。実際の娘は、こんなに素直ではないですし(笑)。登場する女の子は、むしろ妻に似ているかも。

―娘って、そういうもんですよね(笑)。娘さんは読まれてどんな感想をお持ちですか?
 いやあ、読まないですよ。そういえばこの前、上の娘がちらっと「自分はミルク推しだ」って言っていましたが。読んでるのかなあ。

―それは、読んでいますね(笑)! ツイッターをチェックしているかも。
 実は、上の娘がローカルアイドルとして5年間頑張って活動していたのですが、先日卒業したばかりなんです。娘が一生懸命努力する姿を見ていて「夢と現実は地つなぎでつながっている」と実感できたこともあって、自分も何でも挑戦してみようと、作品を描くのに背中を押された部分があります。娘に力をもらった分、今度は自分が頑張ってみようと思って。

―そんなきっかけもあったんですね。アイドル活動もきっといろいろ大変ですよね。
 自分はもういい歳ですが、毎日続けていたら誰かが必ず見ていてくれているし、見てくれていたら何らかの反応が返ってくるし、それが最終的に大きな力になると思えました。自分の力になるというよりも、見た人がポジティブになったり、1日を楽しく終えてくれたりといった力です。それを娘が教えてくれました。

2巻にはシールもついています。勿体なくて張れない!!

2巻初版にはシールもついています。もったいなくて張れない!!

―確かに続けて努力することって、大切ですね。
 毎日作品出しているので正直、調子や出来が悪い時もありますが、それはそれで後から反省材料にしています。見ている人の反応が悪かったら見直すきっかけにもなります。

―ツイッターだと、反応が直接的でしょうね。
 本当にいろんな意見がありますよ。外国の人も見てくださっています。コミックは台湾でも出版されたばかりです。

―今後も1日1本と、コミックの発売を楽しみにしています。
 ネコって、人間と同じように感情があるけれど、価値観は全く違いますよね。そのズレがおもしろいと感じます。そして眺めているだけでも、大きな幸せや感動を毎日運んできてくれる存在です。そういう意味で日常には無限に幸せが転がっていて、ネタには困らないし、「拾い猫のモチャ」を描く原動力になっています。今後もぜひ読んでくださいね。

 ※毎日の漫画はツイッター「にごたろ」でチェックを!

※情報は2019.7.30時点のものです

なかむら

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