浮世絵オリジナルカクテル片手に春画を語る ホテル日航福岡「夜間飛行」でトークイベント

福岡市美術館で開催中の「肉筆浮世絵の世界」展に合わせ、先日、ホテル日航福岡のメインバー「夜間飛行」でトークイベントが開催されました。ホテル日航福岡では、展覧会開催中(9月20日まで)、浮世絵をイメージしたオリジナルカクテルを販売。参加者は、ホテルバーテンダーによるオリジナルカクテルとともに、福岡市美術館の中山喜一朗副館長による肉筆浮世絵や春画についてのトークを楽しみました。

オリジナルカクテルは、葛飾北斎「酔余美人図」をイメージし、酔って着物がはだけた女性の妖艶さを徳利とおちょこを使って演出したカクテル「酔余美人」、3種のベリーと華やかさを演出するためのスパークリング清酒を使った「江戸美人」、白塗り顔の赤ペイントというThe 歌舞伎を表現した「歌舞伎」の3種がありますが、今回は「江戸美人」と「歌舞伎」が提供されました。

アルコールを楽しみながら、ホテルのメインバーで美術談義を楽しむ企画。参加者は、バーテンダーの方によるカクテルの説明を聞き、浮世絵の世界を味わいながら中山副館長の話に耳を傾けます。

浮世絵の中には、表版画、裏版画、表肉筆、裏肉筆がありますが、肉筆とは、最初から最後まで絵師が描いた作品のこと。一点ものなので、絵師にとっては力量の見せどころです。版画では絶対に出せないような色が表現できるのも魅力です。裏版画や裏肉筆というのは春画のことですが、一般的に知られる浮世絵はほとんどが表版画です。

今回の展覧会では、表肉筆、裏肉筆に加え、一部、版画の春画(裏版画)が展示されています。中山副館長は展覧会の狙いについて「表版画だけでなく、表肉筆、裏肉筆、裏版画を見せることで系統だって浮世絵の魅力を伝えたかった」と話していました。

浮世絵は吉原遊郭や歌舞伎を舞台にしたものが多いですが、浮世絵を一番楽しんだのは一般庶民。中でも、嫁入り道具にもなった春画は女性が楽しむことも多く、絵師たちは男女ともに楽しめるように、男も女も対等に描いています。日本人にとって春画は特別なものではなく、身近なものだったのですが、明治以降、西洋文化の影響で美術や芸術は油絵や彫刻といった概念が定着し、春画は浮世絵の作品の中でもタブー視されるようになります。今回、日本の公立美術館で春画が展示されるのは初めてですが、1世紀以上を経て、ようやく私たちは再び春画を身近なものとして楽しむ機会に恵まれたようです。

今回の展覧会では、表肉筆、裏版画、裏肉筆と、表と裏と両方の世界が楽しめます。中山副館長が語った狙いどおり、春画を特別なものではなく、浮世絵全体の魅力のひとつとして堪能できる機会となっています。展覧会もオリジナルカクテルも楽しめるのは20日まで。芸術の秋にぴったりな大人の時間をぜひお楽しみください。

※情報は2015.9.10時点のものです

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