乳がんが教えてくれた 笑顔でつくる人とのつながり

福岡県大刀洗町在住の末次寿さんと由美さん夫妻を講師に招いたセミナー「繋ぐ。そして繋がる命。~乳がんが教えてくれた 笑顔でつくる人とのつながり」が11月17日、NTT西日本 九州事業本部で開催されました。由美さんは2010年11月に乳がんの診断を受け、左胸を全摘手術。自身の体験をきっかけに、2011年2月、乳がん患者に手作りのタオル帽子を贈るボランティア団体「あいう笑がお」を設立し、活動を続けています。寿さんは、がん患者とその家族が気軽に語り合える・支え合えるボランティア団体「cocolove.」の代表を務めています。

末次寿さん(左)と由美さん

末次寿さん(左)と由美さん

この講演は、NTT西日本 九州事業本部が「風とおしの良い職場づくり」「不正不祥事等の根絶」を目指して、開催している「ヒューマンパワーセミナー」の第7回めとして企画されました。今回は、「乳がん検診の大切さ」、「末次夫妻のボランティア活動」に心動かされた九州沖縄の複数の女性社員活動グループとのコラボ企画を実施することができました。テレビ会議システムを利用して九州・沖縄各県の社員約1,200人が聴講しました。

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由美さんは、自身が乳がんの診断を受けたときの心境や、左胸の全摘手術を受ける必要があると医師から伝えられたときのこと、退院後の抗がん剤治療について話してくれました。

左胸の奥に鈍い痛みがあり、胸が変形していることに気がついても「まさか自分が…」という思いや、忙しい日常に追われる中で、すぐには病院に行かなかったという由美さん。ピンクリボン月間の10月に初めて乳がんの検査を受け、10日後に医師から乳がんの告知を受けたそうです。

 

「乳がんと聞いたとき、涙が流れて夫の手をギュッと握りました。『手術しなければどれだけ生きられるのか』と尋ねると、『半年…もって1年かな』と告げられて。私には3人の子どもがいますし、医師から『まだ死ねないでしょ。大丈夫。生きるために手術しよう』と言われ、治療に専念する覚悟ができました」

講演は、由美さんと寿さんの掛け合いで行われました。

乳がんと診断され、左胸を全摘手術し、退院後抗がん剤治療に苦しんだという由美さん。ホルモン療法中は、発熱や発汗、うつ状態を引き起こします。抗がん剤治療の副作用で髪は抜け、生きる気力も希望も打ち砕ける日々。寿さんが当時を振り返ります。

 

「病と戦っているのは患者本人ですが、患者は病や治療のストレスで誰かに辛く当たるし、家族も戦いの日々です。当時、子どもたちは高校3年生、高校1年生、小学6年生でしたが、みんなで戦おうと思いました」

 

手術を2日後に控え、家族で温泉に行ったときのこと。「温泉行くよ~!」と、楽しい気持ちでいっぱいだった小旅行が、帰り道は一転、誰もが沈黙となり、言葉にできない不安に襲われたときのこと。手術が終わり、抗がん剤治療で髪がごっそり抜け落ちる由美さんに、心配かけまいと「抜けてもまた生えてくるからいいよ。じいちゃん見てみなよ」と笑ってやり過ごす思いやりを見せてくれた子どもたち。家族が文字通り一致団結し、由美さんと一緒に病と闘う日々が始まりました。

 

「それでも抗がん剤治療は地獄でした。由美さんは、泣いて、泣いて、泣いて…。僕が『大丈夫、大丈夫』と声をかけて慰めようとしても、『大丈夫じゃない!死にたい!死なせて!』と…。それはもう辛い日々でした」(寿さん)

 

病や死への恐怖と戦う日々。そんな時、由美さんに友人から手作りのタオル帽子が届きます。「(タオル帽子は)優しい肌触りで、とても嬉しかった」という由美さん。このことを機に、由美さんは闘病生活を続けながら、化学療法を受けている人たちに手縫い帽子を贈るボランティア活動をスタートさせたそうです。

手作りのタオル帽子を持つ由美さん

手作りのタオル帽子を持つ由美さん

今回の企画では、抗がん剤治療中の方に贈る「手作りタオル帽子」のために、女性社員活動グループにより、新品タオル募集活動が行われ、九州・沖縄で1000枚を超える新品タオルが集められました。「タオル帽子」と「新品タオル」が末次夫妻に手渡されました。

社員たちから集まったタオル

社員たちから集まったタオル

講演の最後には、寿さんから由美さんへのメッセージが届けられました。

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由美さんが乳がんになり、自分に何ができるか考えた日々

 

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彼女を笑顔にすることを一番に考えた

 

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突きつけられている現実は厳しいけれど…

 

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笑顔のスパイラルをつくり、笑顔が希望につながると信じて頑張る決意をした

個人的なエピソードの中に、普遍的な夫婦愛、家族愛、命の大切さや生きることの尊さが十分すぎるほど伝わる講演でした。

「Canser gift(キャンサーギフト) という言葉がありますが、がんになり、命と向き合い、家族と向き合い、生きることがこんなに尊く、幸せなことだと実感しました。病になるということは、患者も家族も大変なことです。自分のため、大切な人のために、ぜひ、検診に行ってください。そして、どんなに辛い状況になっても、笑っていると幸せになることを忘れないで。そのためにも、日頃からの心の交流の場づくりを大事にしてください」

最後に語られた末次夫妻の言葉に、共感する多くの拍手が送られました。

 

 

※情報は2015.12.1時点のものです

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