子どもたちの夢を応援するプロジェクト -貧困の連鎖を食い止める-

「子どもの貧困」。

近ごろ耳にする機会が増えたと思いませんか?今や日本の子どものうち6人に1人が貧困に陥っていると言われています。西日本新聞社によると、九州では平均19.4%、約42万人つまり5人に1人の子どもが貧困状態にあります。中でも福岡は、その割合が最も高くなっています。


 日本国民は、基本的人権により「生存権」が認められ、最低限の暮らし(社会保障制度など)は確保できるようになっています。貧困家庭であっても必要に応じて車や携帯電話を所有することができます。そのため、傍から見るとその家庭が貧困家庭であることは分かりにくく、切羽詰まった問題として取り上げられないのが現状です。
 地域によっても差はありますが、例えば小学校の1クラスに子どもが30人いたとすると、福岡県では、1クラスに6人貧困の子がいるということになります。しかし、みなさん「そうかな?」とお思いになる方が多いのではないでしょうか。
 貧困が見えにくいということは、私たちに問題意識を持たせるうえで障害となります。数字で何%と言われても想像がつきにくいのは当然のことです。目の前に、おなかをすかせて痩せてしまった子どもでも現れない限り、気づくことができないのは仕方のないこととも言えます。

「子どもの貧困はその子の責任でしょうか?」
 子どもには責任はない。ほとんどの方がそう思われると思います。
では、その子に対して社会がすべきことはなんでしょう?
通常、保護者には、その子を養育する義務があり、教育を受けさせる義務があります。ですが、この義務を放棄、または果たせない大人がいたらどうでしょう?
 子どもの権利が大人によって奪われている状態です。
 放棄したくなくても貧困や病気のために子どもを育てられない親もいて、各家庭の問題として私たちが無視するには酷な場合も多く存在します。
 そういった家庭の子どもを養育するために、「児童養護施設」というものが存在しますが、みなさん「児童養護施設」についてどの程度ご存知でしょうか?

「児童養護施設のはじまりと子どもたちの現状」
 もともと、児童養護施設は「孤児院」としてはじまりました。戦後、教会やお寺が、戦争で親をなくした「孤児」を保護するために作ったものです。時代が移り変わるにつれてその様相は変わり、名称も孤児院から「児童養護施設」へと改称されました。いまでは社会的養護下にある子どものうち、孤児はほんの数パーセントで、現在最も多いのは「虐待からの保護」という措置を取られた子どもたちです。福岡県内には施設は20か所あり、1300人ほどの子どもが親と離れて暮らしています。この子たちはその生活環境のために一般家庭で暮らす子どもと比べて、自分の将来、キャリアに対して関心を持ちにくいという現状があり、それが教育を受けることに対する意欲の差も生んでいます。社会との関わりが薄く、憧れとなるような大人に触れる機会が少ないこともその原因のひとつです。
 日本全体における高卒後の進学率は現在約75%であるのに対し、児童養護施設の子どもたちの進学率は20%しかなく、さらに中退してしまう子は全国平均を大きく上回ります。
 大人のために生活を虐げられてきた子どもたちが、夢を持てないまま社会に放り出され、生活苦に陥る貧困の連鎖が無限のループとなって続いている現状は、大変な社会問題ではないでしょうか。

「子どもを救うのは誰か?」
 施設の子どもたちは多くの無責任な大人による偏見や差別によって腫れもののように扱われることが少なくありません。それによってさらに傷つき、社会や大人への不信感を募らせ、問題行動に出てしまうこともありますが、そのことを親身に考え心配してくれる大人がどれだけいるでしょうか。
 イメージしてみてください。あなたの家の近くの児童養護施設には何人の、何歳ぐらいの子どもたちが暮らしていて、そしてその子たちは卒園したあと、どうやって暮らしていくのか。
 私たちがそういった子たちの存在を認め、見捨てないことを始めることが、子どもたちの夢を育てるきっかけになります。子どもたちを救うのは、私たち大人全員、だれにでもできることなのです。

 2015年12月に発表された日本財団のレポートでは、子どもの貧困によって社会が被る経済的損失は、15歳の児童1学年だけでも2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加すると言われています。
 ですが、私たちが問題としてこれを認識し、貧困の子どもを社会で活躍させる仕組みを作っていくことで、これまで埋もれていた労働力を引き上げ、貧困の連鎖は少しずつ改善することができます。

「子どもたちが安心して進学できる社会を目指すカナエールの取り組み」
 現在、奨学金返済によって起きる貧困が社会問題になっています。これは一般家庭の子も同じように抱えている問題ですが、児童養護施設の子どもたちにとってはより深刻です。
18歳で施設を退所した子どもたちにとって、進学に伴う負担はあまりに大きく、先にも述べたように現在も進学率は低いままです。未成年者が後ろ盾なくお金や家を借りることはとても困難な上、親や家族を頼れない、失敗しても戻る場所がないという精神的負担が重くのしかかります。
 そういった子どもたちのため、返済不要の奨学金プログラムを運営している団体があります。東京で発足したカナエールというプロジェクトは、市民ボランティアによって福岡の地にも降り立ちました。このプログラムで奨学金を受けるためには夢や進学への思いを支援者の前でスピーチする「夢スピーチコンテスト」への出場が条件となっており、奨学生はコンテスト出場までの3か月間市民ボランティアとともにスピーチ作りを体験し、自分の過去や未来と向き合い、夢への意欲を明確にしていきます。お金だけではない、顔の見える支援がこのプログラムの特徴です。
 毎年開催されるこのコンテストの開催も今年で3回目を迎えました。
奨学金を受けて進学した子どもたちは、次に続く子どもたちのロールモデルとなり、意欲の連鎖を生んでいます。

 このプロジェクトの概要や児童養護の現状を知ることができるカナエール福岡(http://www.canayell.jp/contest/fukuoka/)の説明会が、福岡地区と北九州地区で開催されます。
 子どもたちの夢を応援する第一歩として、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

■説明会開催日程■
<福岡・久留米>
日時:8/27(土)18:00~20:00
場所:あいくる
 (福岡市中央区今泉1-19-22 西鉄天神クラス7階工芸室)
<北九州>
日時:8/28(日)13:00~15:00
場所:北九州リバーウォーク9階会議室
 (北九州市小倉北区室町1-1-1)

【問い合わせ】
カナエール福岡実行委員会 http://www.canayell.jp/contest/fukuoka/
[福岡事務局]
福岡市中央区大名2-10-1 A601
NPO法人スマイリーフラワーズ内
[北九州事務局]
北九州市八幡東区中央2-16-9
オフィスクローバー内
TEL/092-791-4371
FAX/092-791-4361
E-Mail/info.canayellfukuoka@gmail.com

※情報は2016.8.2時点のものです

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