日常使い、コト消費重視 マークイズ開業で福岡の「流通戦争」が新次元へ!

 三菱地所の旗艦商業施設として21日、福岡市中央区地行浜に開業する「マークイズ福岡ももち」。2016年3月に閉鎖したホークスタウンモールがヤフオクドーム利用者に集客を左右されて苦戦した教訓を踏まえ、子育て世代を意識した「日常使い」や「コト消費」ができるテナントを充実した。福岡都心部に偏りがちな客足を郊外に向かわせることができるか。流通関係者の注目も高まっている。

マークイズ福岡ももちの外観

 大型商業施設が競合する福岡都心部の〝流通戦争〟に「マークイズ福岡ももち」が参戦した。三井不動産も福岡市博多区で九州初の大型商業施設を計画し、福岡県粕屋町のイオンモール福岡は今年秋から大規模な刷新を開始するなど、同市郊外では商業施設を巡る動きが目立つ。福岡都市圏の流通は、新たな激戦に入る様相を帯びている。

吹き抜け空間の2階には、季節ごとに装いを変える「ごこちタワー」がそびえ立つ

 「厚い商圏がある。広域からも来ていただきたいが、特に地元の方に喜んでもらえる施設を目指したい」。三菱地所商業施設開発部の高橋哲也部長は強調する。

 主要な顧客層と位置付けるのは半径5キロの商圏。同社によると約54万人が暮らし、三大都市圏の郊外型施設と比べても引けを取らないという。加えて、九州屈指の集客力を誇るヤフオクドームの利用客の来場も期待できる。

 マークイズから5キロ圏内には天神地区が入る。岩田屋三越は「商品と顧客層が異なるため、すみ分けができるのではないか」と冷静な構え。天神でソラリアステージなどを運営する西日本鉄道の関係者も「天神で働く人などの利用が多いので、それほど影響はないと思う」と分析する。

福岡市郊外の主な商業施設

 一方、警戒を強める施設も。商圏が重なる同市西区の木の葉モール橋本を所有する福岡リート投資法人は「開業後数カ月は減収になる可能性がある」とする。

 福岡市では天神地区を中心に激しい「流通戦争」が繰り広げられてきた。「第1次」は博多大丸が天神に移り、天神コアや天神地下街が開業した1970年代後半。ソラリアプラザやイムズがオープンした80年代末が「第2次」。キャナルシティ博多、福岡三越が相次ぎ誕生した90年代半ばからは「第3次」とされる。

 JR博多駅ビルが刷新した2011年以降は天神対博多に形を変えた「第4次」が展開。今後を郊外までエリアを広げた「第5次」と捉える見方もある。

広々とした空間に多くの座席が並ぶフードコート「ももキチ」

 マークイズ同様、都心部近郊に位置する同市博多区の青果市場跡(約9㌶)では、三井不動産が子ども向け職業体験テーマパーク「キッザニア」を含めた大型施設を22年に開業予定。イオンモール福岡は19年秋までに約3分の2をリニューアルする。

 商業施設が「供給過剰」になる恐れはないのか。九州経済調査協会の松嶋慶祐主任研究員は「福岡都市圏は人口が伸びており、それほど過剰感はないだろう」と見る。今年10月1日現在の福岡都市圏の人口は約265万人で、5年前から3.6%増。今後も増加が見込まれ、魅力的な市場だ。

プロジェクションマッピングで投影された海の生き物を捕まえて遊べる「あそびパークPLUS」

 ただ業態が重なれば競合の激化は必至。松嶋氏は「都心部対郊外よりも、郊外施設同士の戦いが激しくなるだろう。老朽化した店や規模が中途半端な店の淘汰(とうた)が進むかもしれない」と指摘する。

 ヤフオクドームが隣接し、プロ野球の試合やイベント開催による集客の波が課題とされる「マークイズ福岡ももち」。運営する三菱地所は、日常使いができるテナントや設備の充実を図る一方、「非日常」を楽しめるアミューズメント施設も整備し、近隣住民に加えて観光客など幅広い客層の呼び込みを狙う。

西鉄とコラボした電車やバスの「足こぎペダルカー」も

日常使い、コト消費重視 ドーム隣接、集客の波解消へ

 マークイズ福岡ももちは店舗面積約4万8千平方メートルで、物販や飲食店など計163店が入居。1階には、地元客が普段の生活で使いやすいスーパーやドラッグストアを並べた。家族連れ客が気軽に来店できるよう、子どもが自由に体を動かせる施設を充実させ、授乳室などを備えた「キッズゾーン」(3階)や、屋上公園の「キッズスペース」の他、計550席のフードコート「ももキチ」には子どもが遊べる「キッズコーナー」を設けた。

 体験重視の「コト消費」にも力を入れる。屋内動物園を運営する「モフ」(茨城県石岡市)は、「モフアニマルカフェ」を九州初出店。インコやフェレットなどの小動物を手に取り、触れ合うことができる。

ハトやインコ、フェレットなど小動物と触れ合いが楽しめる「モフアニマルカフェ」

 同じく九州初出店の「あそびパークPLUS」(バンダイナムコアミューズメント)では、プロジェクションマッピングで砂浜を表現した「屋内砂浜 海の子」が登場。本物の海に入った感覚で魚を捕まえる遊びなどが楽しめる。

 マークイズの安部郁夫館長は「地域に愛され、訪れる度に驚きや発見を提供できる施設にしていきたい」と話した。

※情報は2018.11.20時点のものです

西日本新聞

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