目指せセンター!? 大牟田市動物園で「総選挙」

 福岡県大牟田市の市動物園で、飼育員が動物とペアで“立候補”して動物の魅力の伝え方などを競い合い、評価してもらうユニークな投票イベントが開かれている。エントリーしたのは「エミュー×かわかみ」「カンガルー×おの」など11組。入園者らは、園内に掲示された飼育員手作りのパネルなどを参考に投票する。今年は10年間続いたアイドルグループ「AKB48」の選抜総選挙が途切れ、寂しい人も多いはず。飼育員と動物で頂点を目指す「動物園版総選挙」に清き一票を投じて盛り上がってみませんか。

エントリー11組を紹介するパネル

 イベントは昨年に続いて2回目。飼育員も評価の対象とするイベントは、動物の生活の質を高める「動物福祉」に力を入れている大牟田市動物園ならではの企画だ。「動物の魅力の伝え方」「取り組みの素晴らしさ」「パネルのデザイン性」の3点が投票のポイントになる。

エミューに餌をやる川上万央さん

 エントリーした飼育員と獣医師計11人のうち、川上万央(まお)さん(27)は担当する8種の動物のうち「マイナーだが顔が格好良い」とエミューと組む。パネルでは、餌を探すのにあえて時間がかかる工夫を施した餌箱を写真付きで紹介。餌をすぐに取り出せないようにしたのは、餌取りが難しい野生に似た環境にするためだ。

「エミュー×かわかみ」のパネル

 飼育員2年目の古賀秋穂さん(21)は「喜ぶと尻尾を振ったり、寝そべったりして、人なつっこくてかわいい」とミニブタを選択。7頭の家族相関図のイラストや、普段の生活の様子をパネルに描いた。にぎやかな“家族”の光景が思い浮かぶようで、「ミニブタの古賀さんと覚えてもらえればうれしい」と話す。

ミニブタの世話をする古賀秋穂さん

「ミニブタ×こが」のパネル

 今年のイベントでは初めて、全11組の取り組みを紹介する動画を撮影し、動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップした。NG集も制作し、飼育員たちが楽しく動物と向き合っている姿が映し出されている。椎原春一園長は「動物の人気投票とは違った企画で、飼育員たちの創意工夫を広く知ってもらうきっかけにしたい」と話す。

「カンガルー×おの」のパネル

 投票締め切りは15日。大牟田市動物園のフェイスブックからも投票できる。

「ライオン×ばん」のパネル

<「動物福祉」で復活の大牟田市動物園> 

 大牟田市動物園は1941年に九州5番目の動物園として開園した。92年度の全面リニューアルで入園者数は年間40万人超とピークを迎えたが、その後はレジャーの多様化などで2004年度には13万人余りまで落ち込んだ。

 一時は閉園が検討されたが、市が06年に指定管理者制度を導入以降、動物の魅力を生かしたイベントや、「動物福祉」を重視した飼育が話題となり、入園者数は回復していった。16年度以降は23万人以上を維持し、大規模リニューアルによらない「復活劇」は全国的に注目され、動物園の専門家も高く評価している。

 人気上昇は、各飼育員の動物福祉の取り組み自体も「展示」し、発信している点が大きい。動物の健康維持のために定期的に行う採血の様子を公開したり、狭い獣舎でも動物本来の行動ができるように餌を隠して探させたりと、飼育員も含めた「丸ごと展示」が来場者増につながっている。

 大牟田市動物園には4.4㌶の敷地にホワイトタイガーやキリン、モルモットなど51種239頭が飼育されている。入園料は大人370円、高校生210円、4歳以上80円。3歳以下は無料。0944(56)4526。

※情報は2019.4.9時点のものです

西日本新聞

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