六本松の靴下専門店「How’s That」へ行ってきた!

 オリジナル靴下の専門店「How’s That(ハウズザット)」が10月1日、福岡市中央区六本松にオープンしたのを知っていますか? アパートの一室で営業中のお店を訪ねました。

温かい雰囲気の店内

 福岡市地下鉄六本松駅から徒歩約5分。住宅街の古いアパートの2階で綾部舜さん、光里さん夫妻が営むお店です。2人でひと夏かけてリノベーションしたという店内は、天井が高く、立派な梁(はり)が見えています。「天井も取り除いて、2部屋だったのを1部屋にしたんです」と光里さんは話します。

 店名の「How’s That」は「これどう?」という意味。オリジナル商品のブランド名であり、店名でもあります。

 店の中には温かみのあるカラーの靴下が並び、ほっこりとした雰囲気。商品は奈良県の工場で作っているそうで、なぜわざわざ奈良県で? と尋ねると、「実は私の出身が奈良県なんです。奈良県は靴下の生産量が日本で第1位。私の実家も靴下工場でした。信頼できる技術を誇る工場が多くあるんですよ」。知らなかった~!

綾部舜さん、光里さん夫妻

 “まるで街全体が靴下工場のようだった”という同県広陵町で生まれ育った光里さん。幼い頃などは、街のあちこちから靴下の編み機の音が聞こえていたそうです。

奈良県の工場の様子がまとまった本も販売しています

 自然と靴下工場の仕事に就いた光里さんと、糸を卸す会社に勤めていた舜さんが出会って結婚。太宰府市に実家がある舜さんは、ことあるごとに光里さんに福岡の良さをアピール。その熱意に引かれ、福岡に越してきて2人で店を始めることに。

「以前は現場で作り手として頑張っていましたが、今度は、自分たちの作る靴下の良さを広める側に回りたいと思って」と光里さんは言います。

“靴下の街”広陵町の話も

 「第1位とはいえ、工場が少なくなってしまった奈良県の靴下産業をもう一度元気にしたいと考えたのもきっかけでした。最盛期には800社強あった工場は、今では100社前後になっているので」と生まれ育った地域への思いも話してくれました。

 「製造については、私たちが本当に履きたいと思えるデザインや色を、信頼できる奈良県の職人さんたちに伝えています」。時には工場まで赴くこともあるといいます。

秋らしい色合いで作られた靴下

 「秋っぽい色で作ってほしい、とか、それくらいのイメージで伝えています。在庫がほぼないような色の糸などで編まれていることも多く、二度と同じ色合いの靴下は作れないんです」。

 製作時のこだわりを尋ねると、「ゆっくり時間をかけて編んでもらっているのが特徴です。大量生産の現場では編み機のスピードを上げるしかなく、そうすると糸が摩耗するんです。商品になった時点で摩耗しているとやっぱり生地が弱い。それに比べるとうちの商品は耐久性があると思います」

長さや色をお好みで

 通常、市場に出ている製品の多くは、編み機1台から1日あたり120~200足ほど編み上げるといいます。ハウズザットの製品はその倍以上の時間をかけていて、1日に編む数を50足までに抑えているほどです。

 履き心地も追求し、「靴下が滑り落ちないようにするために履き口のゴムをきつくする対応が多いのですが、それだとやっぱり心地よくないので、かかとの部分に工夫をしています」と話します。

 「通常に比べて、生地をより立体的に縫ってかかとを包み込むことで脱げにくくしています」。手間がかかっても少しでもいいものを履いてもらうために、日夜職人さんと意見を交わしているそうです。

 「実は現在、低コストの国外製におされ、日本製の靴下は国内販売シェアの10%にも満たないのが現状なんです」と光里さん。国内の工場が減るに伴って、国産の編み機も減ってしまう中、国内メーカーが編み機生産から全て撤退してしまったことで修理さえも頼めない状況といいます。「だから完全に壊れた機械でも、別の機械が壊れた時のための“部品”として残しているような状況です」。

実家の工場で作っているという「にゃらまちくつした」も国産の紡績糸を使用

 「決して国産だからいいというわけではないんです。でも顔や現場が見えるとニュアンスが伝わりやすい。より良いものが作れると思っています」と舜さんは言います。

 ハウズザットの製品は「肌に着けるものだからできるだけ天然の素材で」となるべくオーガニックコットンを使用するよう、こだわっています。

 実際に触ってみると吸い付くような肌触りで、軟らかい布地にうっとり。福岡オリジナルブランドの商品はハウズザットのタグが付いていますが、それ以外の製品も奈良県の実家の工場の信頼できる製品だそうです。

 「靴下の機械は、筒状の物なら基本なんでも作れるんです」と紹介してくれた腹巻きはとろけるような肌触りで軽く、触れたところがぽかぽかとしています。

とろけるような手触りの腹巻き

 仕入れのペースは大体月に1回。毎回、職人さんの気持ちと冒険心が表現された靴下が届きます。価格は1足1,400円(税込み)前後。自分で履く用はもちろん、プレゼントで購入する人が多いそうですよ。

プレゼントに大人気! ベビーソックス

 プレゼント購入で一番多いのが赤ちゃん用の靴下。綿100%で7色のレインボーカラー。優しい手触りと見た目のかわいさで人気です。1足880円、7足セット4,730円。滑り止めもついているので、出産祝いなどに喜ばれているといいます。

 ほかに人気なのが「コーヒーソックス」(1足1,980円)。「浅煎(い)り」、「中煎り」、「深煎り」の3種類で、コーヒーで染めた糸で編まれています。取材時も「ネーミングセンスにしびれました」とコーヒーソックスを買う男性に出会いました。

コーヒーの色合いをした靴下

 こちらもベビーサイズが用意されているので、ファミリーでおそろいにするのもおすすめです。

 もうひとつ、店内には見どころが。明治40年ごろ多く使用されていたという初期の靴下編み機のレプリカです。これは今や国内で見られる場所がほぼないそうで、貴重な代物といえます。レプリカではありますが、実際に編むこともできるので、少しだけ編む体験をしてみました。

やわらかい糸を筒状に巻き込んで編んでいきます

 ハンドル部分を回して上から糸を引き下ろし、下に筒状の布が垂れていく…。機械の構造はシンプルですが、編み上がっていく工程を見るのはとても面白かったので、来店したら、夫妻に声を掛けて試してみてください。

 ハウズザットの靴下は「洗濯して、タンスに戻ってくるのが待ち遠しくなる靴下」(舜さん)。ぜひ店を訪れてみて。

 

How’s That
住所:福岡市中央区六本松1-4-11 MM202
営業:11:00~19:00
不定休

※情報は2019.11.13時点のものです

やはた

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