ポルトガル 世界遺産の町とワイン~ワインとチーズをもっと楽しく!~

ポルトガルの鉄道

年越しのお祭り騒ぎに力尽き、ぐったりと新年を迎えたポルトガルはリスボンをあとに、鉄道でシントラへ向かいました。

リスボンには地下鉄、トラム、近郊の鉄道、バスを利用できる一日乗車券“VIVA VIAGEN”があります。

日本では一日乗車券は名前の通りの一日使いきりですが、ポルトガルはこの紙製の一日切符を何度でもチャージでき何日間も使えます。

 

環境に優しいポルトガル。

しかし数日チャージしながら使うと磁気が弱まり、自動改札で反応しなくなっていく。

 

日本の場合、自動改札で引っかかっても、後ろの人に「すみません」ですみますが

ポルトガルの場合改札はドア。透明な強化プラスティックの自動ドアなので、磁気が反応しないと、恥ずかしい感じで自動ドアに挟まれた挙句、ホームから出れなくなります。

 

私がシントラへ到着した時も、フランス人4人組の一人がホームから出られなくなっており・・・私のカードで助けて差し上げハイタッチ。

脱出の喜びを分かち合うという・・・旅ならではの素敵な国際交流体験ができました。

 

今回はそんな助け合いの国、ポルトガルのワインをちょっとご紹介したいと思います。

 

ポルトガルのワイン

ポルトガルのワインを召し上がったことがありますか??

日本で有名なポルトガルワインといえば、

甘いポートか、ダン、そしてほんのり甘いロゼのマテウスでしょうか。

 

ポートは話し出すと長くなるので次回に取っておいて

今回は私が今回出会った美味しかったワインを少しご紹介したいと思います。

 

ヴィーニョヴェルデ

テラスレストランでの気軽なランチに白ワインを注文すると、大抵北部ミーニョ地方で作られる爽やかなヴィニョヴェルデが出てきます。

ヴィニョヴェルデに使用できる葡萄は多岐にわたり、アルバリーニョから作られる物は香り高く、複雑でしっかりしたお味とお値段。

ローレイロから作られるものは酸味がしゃきっとして冷涼感にあふれます。

ドウロ

ドウロ川流域はドイツのライン川を凌ぐ急傾斜地帯。

ここはポートと産地を同じくしていて6割がスティルワインへ。4割がポートへ仕立てられるのだそう。

 

周りを標高1000m級の山々に囲まれ、冬寒く、夏暑い気候。

赤が中心に作られていますが、マルヴァージア・フィナなどから繊細で華やかな香りの白ワインもつくられます。

 

リスボンにてワインショップの店員さんと「ポルトガルを代表するような白ワインは?」と話をした時に、ドウロのマルヴァジーア・フィナをお勧めしてくださいました。

複雑で薫り高く酸と果実味のバランスのとれた味わいがお薦めのポイントだそうです。

 

ダオン

ダオンは日本でもすでに大変有名です。

ドウロ川の南に広がる丘陵地帯で、日照時間が長く葡萄がよく完熟するとか。

 こちらでもトウリガナショナルなどから重厚な赤ワインがつくられますが、ドウロやバイラーダに比べると温かみのある味わいです。

 

トウリガナショナルは、

内陸の乾燥した地域ではアルコールが高くなりヘビーでスパイシーに。

平地では柔らかくふくよかに。

大西洋沿岸の涼しい地域ではエレガントで軽やかに。

 

エストレマドゥーラやドウロなどの標高の高い地域ではアロマティックで余韻が長いワインが出来上がるのが特徴だそう。 

エンクルザードからつくられたエレガントな酸味とアロマティックな香りのある白ワインもヨーロッパの市場で人気を博しています。

 

バイラーダ

昔、祖母がよく飲んでいたほんのり甘いワイン、マテウスの産地です。マテウスは調べてみると昭和50年あたりから日本へ輸入されていたということで、キャンティと共に輸入ワインの先駆者・・・強いて言えば今のワインブームの火付け役とも言えませんか!?

 

いや、言えないか・・・

とにかくこのマテウスにはセンチメンタルな幼少の記憶が呼び起こされ・・・

マテウスだけでページが埋まりそうなので、この辺で止めておかなければいけません。

 

そんなマテウスの産地、バイラーダで現在注目されているのが、バガという葡萄品種。

とても色が濃く、タンニンが豊富でできあがるワインも驚くほどフルボディです。黒胡椒や腐葉土、黒い果実を思わせる濃いタンニンとともに完熟したフルーティなニュアンスも持ち合わせます。

マテウス…

マテウス…

 そしてバイラーダのバガ

アレンテージョ

一時荒廃してオリーブ畑が広がっていたアレンテージョですが、近年、芳醇でよく熟した、重厚かつまろやかな赤ワインを産出。

ちょっとおしゃれでモダンなワイン産地として人気がでてきています。

 

リスボン周辺・・・そしてシントラへ

さて、

ワインの話をしつつ無事に到着したシントラは、

大西洋を臨み、町全体が世界遺産に登録された、とても美しい場所です。

 

王族が夏をすごした王宮を中心に、山にはムーア人(イスラム)によって作られた石造りの城跡。

ゴシック、ルネッサンス、マヌエル、イスラムの4つの建築様式をごちゃ混ぜにしたような本物の夢のお城、ペーナ城。

 

デザインってボーダレスなんですね・・・。

鍾乳洞を利用し、地下60メートルの螺旋階段と懐中電灯がないとどうにもならないその先の地下通路・・・というか迷路、不思議な庭園を誇るレガレイラ宮殿など、シントラを楽しむためにはちょっとした山登りの装備と懐中電灯が必須だと思います。

レガレイラ宮殿

ペーナ城

そんな何でもありな城ばかりではありません。

 

宿泊するパラシオ デ セテアイスは「七つの溜め息の宮殿」という意味で、1808年にナポレオンとの間にシントラ協定が結ばれた気品ある館。
協定がポルトガルにとって不利な条件だったため、溜め息の…という名前がついたそう。

フレスコ画で彩られたサロン、大きなタペストリーが飾られた廊下はとても気品があって美しく、部屋にはウェルカムポートワインとシントラ名物のお菓子ケイジャーダが待ってました。

夕食は貴族的なメインダイニングで
私はフォアグラのテリーヌと、メインに豚の角煮をいただきました。

長崎のシッポク料理はポルトガルから来てるそうです。

 

ここでついに出会いました。

南ポルトガルの地ワイン、コラレスに。

この写真は

あんまり気に入ったのでお土産に買ったクラシックな生産者のコラレス。

 

コラレスは海からの風が強く、ラミスコという葡萄を砂地に深い溝を掘って栽培しています。

これが・・・酸味と渋みがとても骨太。

果物というより丁子や五香粉など中華につかうスパイスの香り。甕で仕込んだ黒酢のような風味。

バガのようにタンニンと同時に甘いフルーティさを感じることはありません。

素朴で力強く「若いのはとても飲めない」と1997年のものを勧めてくださいました。

 

最初は強烈な個性に戸惑いましたが、少し甘くスパイスを使ったお肉料理の脂を合わせると・・・非常にバランスよく溶け合い、余韻も長くなりすばらしい相性を見せてくれました。

ポルトガルのワインとオリジナリティあふれる生真面目さ

ポルトガルのワイン全般に関してのまとめをすると・・・

非常に強い酸が特徴だと思います。

 

その酸をフォローするようにたっぷりした果実味とパワフルな渋みがある。

チリのカベルネや、南フランスワインのような温かみを感じるフルボディではなく、シャープで冷涼なフルボディ。

私としてはこちらのほうが、お料理と一緒にいただいた時にお料理を楽に食べさせてくれると感じます。

 

そして、ポルトガルには北から南、それぞれに聞いたこともないような地葡萄から作られるワインに出会うことが出来ます。

ワイン業界でおなじみのシャルドネやメルロー、カベルネなんてお目にかかりません。

 

それは何故でしょう?

 

・・・ポルトガルは強烈なキリスト教国です。

聖母信仰が厚く、伝統や親から受け継いだものを守って生きていくという考え方が根強い。

農家の子供は農家。職人の子供は職人。

親の仕事を継がないで、故郷に錦を飾ることが得てして良いこととは評価されないんですね。

なので、先祖が守ってきた固有品種を引っこ抜いて、シャルドネやカベルネソーヴィニヨンなどの国際品種を植えることに強い抵抗があり、他の地域のように国際的に流行っている葡萄品種で新しいワインをつくるということがありません。

 

海外で醸造を学んだ生産者達はチャレンジするという意味で国際品種を植えていますが、ポルトガル全体がそうなることはないと思います。

ワインショップへ行ったときに

「どうしてムルソーやピュリニーモンラッシェのようなワインをつくらないの?」と聞いたことがありますが

「そんなワインをポルトガルでつくる必要がないんです」との答えでした。

 

流されない。たとえ、爆発的に売れなくても、自分たちの方針を崩さない。

世界を制した過去の栄光を胸の中に、穏やかに現在を受け入れて悠々と生きる。

ポルトガルは上手に衰えていくことを知っている国です。

やれ経済成長、発展発展とまっしぐらに前へ前へと進むことだけが真に豊かだとはいえないということをポルトガルを訪れる度に教えられます。

 

行く先々で、堂々とした存在感を誇るポルトガルのワインと、朗らかで優しく少しシャイなポルトガルの人たちに癒されつつ・・・

 

次回はポートワインと旅先で美味しいワインを買うコツをお伝えしたいと思います。

※情報は2015.2.17時点のものです

伊藤 治美さん

福岡市のレストランでソムリエとして勤務。

2014年度公式ベネンシアドール(スペイン、ヘレス地方の特産品であるシェリー酒の専門職)認定試験に合格。福岡県内で2人目のベネンシアドーラ。

シニアソムリエ、チーズプロフェッショナルの資格も持つ。プライベートでは2児の母。

伊藤さんのインタビュー記事⇒https://fanfunfukuoka.com/people/19834/

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