ヨーロッパより、英語と悔し泣きと本と願い事。〜珍国の女王☆度々世界旅〜

右足の薬指の骨折が完治しないまま、旅に出た。
右利きなのでどうしてもスーツケースを右手に持ってゴロゴロしてしまう。
旅の時、私の右側を常に寄り添い歩いてくれる輝く赤色のサムソナイトの小さなタイヤは、今の私にとっては超危険な凶器である。
20キロ超えの重たいスーツケースに轢かれないように、指の上に落とさないように気を遣い過ぎて、福岡から成田へ着く頃にはもうヘトヘトだった。
めったに行くことのないヨーロッパに心は踊るのだが、足元はおぼつかない。
とりあえずは、二次被害を避けることが今回のミッションの成功であると考えている。

 

さて、私は珍国の女王。
その名の通り、珍国(普段は耳にすることのない聞きなれない国や地域)にしか旅が出来ない女王。
ヨーロッパと言えど、本土の空気を吸うことが許されるのは乗継の時だけだ。

 

世界中にはナンチャラ領ナニナニという地域があり、例えば、英領ケイマン諸島やオランダ領アルバなど。

 

ヨーロッパは占領時代から太平洋や大西洋、カリブ海に浮かぶ島々を領土とし自国にした。
女王は本土に行ったことはなくても、そういった地域には行ったことがあるので、一応は
フランスに行ったことあるよー。
イギリスに行ったことあるよー。
とも言えないこともない。

 

ということで、今回は英国王室などの属領であるジャージ島、ガンジー島、マン島、
フィンランド領オーランド諸島、
デンマーク領フェロー諸島
を巡る旅。

時間の感覚がおかしくなるほど明るい。

ガンジー島〜ジャージー島〜マン島というノルマをこなし、フィンランド領オーランド諸島の中心部マリエハムンでコラムを書いている。
時刻は夜の22時過ぎだが、まだ明るい。

 

各島のコラムはまた機会があれば書くとして、今日はヨーロッパに来て感じたことを書いてみたいと思う。

 

突然だが、私は英語圏の英語が苦手だ。
というより、自信がない。
高校生の頃は物凄く好きだった。
高校の英語の先生がイギリス留学経験者で美人で、かっこよくて、発音が素晴らしくて憧れていた。
その先生から、英語が上手と褒められ、有頂天になり、いつかは留学したいと考えていた。
社会人になってオーストラリアにワーキングホリデーで行き、語学学校に半年通ったりもした。
学校もサークルも毎日が楽しくて、スイスやイタリアやドイツの友達と毎晩遊びまくっていた。
日本人の友達とは日本語で話す時もあったが、ヨーロッパ人達ひっくるめて仲が良かったし、ホームステイだったのでほとんど英語漬けの日々。
おかげさまで、3ヶ月もすれば日常生活には困らないくらいにはなっていた。
しかし、どちらかというと英語を母国語で話す人達より、英語を母国語としないヨーロッパ人達とつるんでいたので、思ったよりは上達はしなかった。特にリスニング。

 

珍国巡りをするようになって、英語は当然のように必要になるのだが、英語圏の地域に赴くことは正直言って苦痛だ。
アフリカで、南米で、中東で出来ることが出来ない。
胃がキリキリ痛むくらいの出来事や、喧嘩や、交渉ごとなどその地域では出来るのに…

 

英語圏を母国語としない国(アフリカ、南米、中東など)で英語を話す人達とは会話も盛り上がり、こちらの言いたいことも理解してもらえるし、相手の言いたいことも手に取るように分かる。

 

しかし、英語圏の国へ行くと、途端に意味不明の時が多くなる。
英語圏以外の人達は簡単な文法や単語しか使わない。
しかしネイティブはあの手この手で会話を投げかけてくる。
もちろん早口だ。
(ここで言う早口は、私にとってということ)

どんな美しい風景もこの時の自信喪失感を救ってはくれない。

遊びではなく、仕事で行くので英語が分からないと仕事にならない時もある。

 

しかも女王は集中力がない。
たった一つのことでも何度も聞き返して、電子辞書で調べたりしながら、時間をかけてしまうこともある。
要はリスニング力が弱く、単語のボキャブラリーが少ないのだ。

 

「Its yours?」と言いながら、バッグを指差すフライトアテンダントに向かって
「No it’s my bag」

と堂々と答える女王。

 

短縮言葉と発音が良すぎて、

「これはあなたのシュー(靴)ですか?」

と聞かれたと思った。カタカナにすると

「ィッユォッシュ?」

こんな感じ。

普通に考えたら、バッグに向かって、これは靴ですか?と聞く人はいないのに。
これが女王の英語力…。

 

今回の旅も、英語圏の島々では本当に苦痛を感じたと同時に、自信喪失してしまった。
特に、政治経済、宇宙自然科学的、歴史的な話は難しいが。それがネイテブ発音だと聞き取れないことが多い。
悔しくて泣きたくなった。

打ちひしがれて悲しい気分の時に癒してくれたニューファンランド犬の女の子。

打ちひしがれて悲しい気分の時に癒してくれたニューファンランド犬の女の子。

しかし、そんな女王をある一冊の本が救ってくれた。
ファンファン福岡の仲間、弁護士(おくだ総合法律事務所)の奥田竜子氏から旅のお供にと貸して下さった本。
わずか24歳にしてアルゼンチンで事故に遭い命を失った女の子のブログを本にまとめた一冊。

内容には深く触れないが、彼女が事故に遭う直前まで書いた日々のブログを読んでいると、「命がある。」ことがどれだけ尊いことなのか。

 

どんな人にも日常があって、家族があって、日々の生活があって、皆毎日何か感じ、思い、抱え生きている。
こんなにも人の日々の生活に密着させてもらったことはない。と思えるほど彼女がぎっしり詰まっていた。

 

私よりも20歳も年下の彼女が紡ぐ言葉の一つひとつがとても愛おしく、新鮮でまっすぐで、人間らしいというか、人間臭い。
これでいいんだ。皆同じように生きているんだ。
と思わせてくれる。

 

若い女の子の日々の生活をのぞかせてもらいながら読んでいくのだが、ページが進むということは、彼女が避けられない運命に向かっているということで、嫌でも死を意識しながらページをめくっている自分がいた。
筆者が完結を書けない本に出会ったのも初めてだ。よって、読み終えた後は読破感とはまるで違う感覚。

いきてるだけで、まるもうけ。という名を持つ、IMARUちゃんのことを思い出す

いきてるだけで、まるもうけ。という名を持つ、IMARUちゃんのことを思い出す。

最後に本の出版に携わった方やご両親のあとがきを読み、涙が止まらなかった。
たかが英語が分からなかったこの数日で自信喪失していた自分が情けなくなった。
私は生きていて、まだまだこれからたくさん学べるのだ。
大切なことに気付かせてもらった…というよりは、彼女から自分の中にある臆病な心をスッポリ包まれた感じだ。

 

その本を読み終える頃に、ここフィンランド領オーランド諸島に到着した。
明日からは前を向いて、笑顔で生きていこうと思ったが、きっと私のことだから、また情けない自分にたくさん出会うとも思う。
しかし、彼女がこう綴っていた。

 

それでも私は、

〜えいやっ!と飛び出すあの一瞬を愛している〜んだなと思う…と。

 

人は大なり、小なり、何かを抱え生きている。
何かを変えたくて、自分を変えたくて、何かに出会いたくて、誰かに会いたくて、少しでも前に進もうとしている。

 

地面を這う縄跳びをチョコンとまたいで飛び越えることや、跳び箱で5段から6段に挑戦したり、私であるならば、珍国では必ずシャワーを浴びて寝ようとか、毎日
5時には起きようと努力したり。
まずはその自分を認めたい。

 

今、出来ることは限られているかもしれないが、今を積み重ねた先に何があるのか想像力を働かせたいと思った。
そう、彼女が教えてくれたような気がする。

 

彼女は何を目指していたのか?
離陸寸前の加速した飛行機の中で思いを巡らせたが、分からなかった。
知りたくても、もう知ることは出来ない。
本人にしか分からない本人のこと。

 

マン島を出る日の朝、妖精が願いを叶えてくれる。という小さな橋〜フェアリーブリッジ〜に立ち寄った。

イタズラ好きな妖精がいると言われるフェアリーブリッジ。木に願い事を吊るすと妖精が叶えてくれるらしい。

イタズラ好きな妖精がいると言われるフェアリーブリッジ。木に願い事を吊るすと妖精が叶えてくれるらしい。

大好きな人達がいつまでも幸せで健康でありますように。

この願いが真っ先に浮かんだ。

※情報は2015.5.20時点のものです

珍国の女王

  • 【珍国→珍しい国→日常ではあまり耳にすることのない国】

    縁あって100ヶ国以上の国や地域を訪問させて頂いております。 なぜ、自分で女王と言ってるかというと、西ヨーロッパ諸国を訪問した時に 立て続けに現地の人に、どこかの女王に似てると言われて有頂天になってるから。 どこの国の女王かは不明だけど。 特技は、どんな地域にでも雨を降らせて、虹を架けること。 究極の雨女です!

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