「愛」と「命」奪う人間と与える人間。動物たちの悲しみ【アフリカ・ザンビアで知った現実】~珍国の女王~

先日、ショッキングなニュースが出た。

狩猟を趣味とするアメリカ人歯科医がジンバブエで人気のライオン「セシル」を40時間追いかけまわした挙句、残虐な殺し方をしたと。

詳細は⇒http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150729-00000002-jij_afp-int

 

SNS等で彼の残虐行為は世界中から非難を浴びているが、彼の言い分はこうだ。

 

「自分は狩猟が趣味。正当なお金を払って狩りをしたまで。」

 

日本を含め、世界にはこういう種の人間が増えてきているように思う。

 

ヨーロッパの島々を連載で書いていたが、今日はお休みしてアフリカの動物たちに降りかかる悲惨な現状の一部をお伝えしようと思う。

 

2014年、私は何度目かのザンビアを訪れた。

いつもは仕事オンリーでなかなか自分の時間というものは取れないのだが、何故かこの時は終日フリーという日があった。

少し遠出したいと思い、調べてみると首都のルサカから車で1時間ほど離れた「リライロッジ」という感じの良いホテルと、草食動物専門のミニサファリがあると知り、行ってみた。

 

とてもこの中にリゾートホテルがあるように思えない入口…。

しかし、セキュリティチェックは厳重だった。

しかし、セキュリティチェックは厳重だった。

ホテルのプールサイドのレストランでタクシードライバーとランチを楽しみながらゲームサファリ(ゲーム感覚で動物探そうぜ!との意)の時間を待った。

ホテル棟やその名の通り木造りのロッジもあり、綺麗でとても感じが良い。

ホテル棟やその名の通り木造りのロッジもあり、綺麗でとても感じが良い。

アフリカの壮大な大地とは程遠い雰囲気に、多少はガッカリしながらもゲームサファリスタート。

本当に動物がいるのか、不安になるほど小規模…。

本当に動物がいるのか、不安になるほど小規模…。

しかし、意外とすぐに出会えた!まずはウォーターバック。

鹿ではなく牛の仲間らしい。結構大きい。

鹿ではなく牛の仲間らしい。結構大きい。

写真の写りが良くないが、イボイノシシやインパラ、シマウマ。

そしてキリンなど、結構近くで見ることが出来る。

模様が濃いのがオス、薄いのがメスらしい。

模様が濃いのがオス、薄いのがメスらしい。

驚いたのはインパラ。(上手に撮れなかったので、フリー素材の画像サイトから拝借)

アフリカの草原をピョンピョンと駆け回るインパラ。

アフリカの草原をピョンピョンと駆け回るインパラ。

ちなみに、女王撮影…全く分からない…。

鹿だと思っていたら、この子達も牛の仲間とか。

鹿だと思っていたら、この子達も牛の仲間とか。

何が驚いたのかというと、このインパラ、繁殖力が半端なく強いのでシーズンを決めて狩りをし、食用にしているのだとか。

インパラのカルパッチョ(刺身)を勧められたが、遠慮した。

 

そして、ゲームサファリが終わり受付へ会計を済ませに行くと、女性スタッフがやたらと「象小屋」へ行くようにと勧める。

何時何分から何かが始まるから、それを必ず見て帰るようにと。

 

何のことかは分からなかったが、「とにかく見ると分かるから。」という事で、その「象小屋」へ。

象のショーでも始まるのかと思い、小屋へ行って見ると…

入口に「象の孤児院プロジェクト」と書いてある。

入口に「象の孤児院プロジェクト」と書いてある。

色んなことに疎い女王もこれは一瞬で分かった。

以前にアフリカの問題ということで、テレビで見たことがあったからだ。

絵を見て分かるように、「象牙問題」に関わるところだと。

しかし、孤児院とは???という疑問が。

しかし、孤児院とは???という疑問が。

ホテル側ではほとんど人は見かけなかったのに、小屋の上に上がるとすでに20人近くの人がいた。

中には象牙狩りの残酷な様子が撮られた写真や説明書きなどがある。

中には象牙狩りの残酷な様子が撮られた写真や説明書きなどがある。

ヨーロッパ人、アメリカ人、オーストラリア人、韓国人、インド人、トルコ人など様々な国籍の人たちが集まっている。皆、この問題に関心があるようだ。

係員の説明が始まった。こういう時の女王の英語力には自分でも驚かされる。

別人になったように、欧米人を前にして質問まで出来てしまうくらいだ。

興味があることだからだろう。

 

以下が説明の内容。

 

ここは子象の保護センター。象牙の密売人に母親を殺されたため残された子象を保護し、ここで育て、野生に返す取り組みをしている。

アフリカの奥地で今も続けられる象牙狩り…人間の金銭欲のためだけに無残な殺され方をする象がたくさんいて、しかも、密猟は象牙取引が合法な国や軍資金の為に象牙を利用し、荒稼ぎしようとしているマフィアなどが現地の人にお金を払ってさせている。

実際に現場で密猟する者たちも生活があるので、心の底では嫌だと思っていても、職業としてせざるを得ない現状だとか。

この団体はそういう大人たちを教育するのではなく、密猟を撲滅する為には人々の意識を根底から変えて行く必要があると考え、団体側が学校を訪問し未来ある子供達に「同じことを繰り返さない」ように教えていく活動をしているとのこと。

センターの運営費はほぼ人々の支援から成り立っている。

 

ワシントン条約があるとはいえ、象牙は実際管理が難しく、違法ルートから日本を含め象牙取引が合法である国へどんどん入ってきている。

自然保護団体が安倍政権へ取引の禁止を申請したが、日本は未だ象牙消費国。

2014年の調査では象牙取引業者数は7000以上と世界一。

 

係員に象牙大国はアジアでは「日本と中国」だと言われ、肩身が狭かった。

支援企業の中にTOYOTAがあったことがせめてもの救いだった。

 

11:30〜13:00の決められた時間だけ子象を見ることが出来る。

係員がそれぞれの子象がここへ来た経緯や特徴などを話してくれる。

係員がそれぞれの子象がここへ来た経緯や特徴などを話してくれる。

象牙だけ切り取られ、無残に殺された母親のそばに寄り添う子象の姿はとても悲しい。

人間の果てしない欲望の犠牲となった象。

人間の果てしない欲望の犠牲となった象。

このセンターに保護されて来た子象達は心に傷を負っている。

何日もミルクを受付けない子もいるとか。

鼻でボトルを固定して、上手にミルクを飲む姿が愛らしい。

鼻でボトルを固定して、上手にミルクを飲む姿が愛らしい。

象は子供の時は3時間に1回2リットルのミルクを飲まないといけないそうだが、母親が殺され、何日もミルクが飲めなかったせいで、ここに保護されてくるほとんどの子達が栄養失調らしい。もちろん保護される前に命を落とす子もいる。

小さければ小さいほど、「絶対に離れたくない。」という依存症みたいなものが強くなり、年上子象を親代わりのように慕うそうだ。

寝そべっている小さい子は群れにいないと、不安で不安で仕方ないとか。

寝そべっている小さい子は群れにいないと、不安で不安で仕方ないとか。

大きい子でも心にトラウマを抱え、人間不信でなかなか心を開かない子も多い。

大きい子でも心にトラウマを抱え、人間不信でなかなか心を開かない子も多い。

愛らしい姿の陰にどれだけの壮絶な出来事があったか…考えると涙が止まらない。

母親象が目の前で殺され、象牙が切り取られていく様子を彼らはその瞳で見ている。

体は人間より大きくても、彼らにとって人間は恐怖そのものでしかない。

センターの方々の献身的なお世話のおかげで、子象達も徐々に癒されていく。

センターの方々の献身的なお世話のおかげで、子象達も徐々に癒されていく。

私は動物愛護家でも、菜食主義者でもない。

現地の人の仕事を奪うようなことが言いたい訳でもない。

密猟者が家族を守るために、その心を利用され、仕方なくこういった事をしていることも知っている。それを含め、ただただこの現実が悲しいだけだ。

人間が勝手に象牙というものに価値を付け、欲を出し競うようにして奪い合う。

しかしそれに対しての解決策なんて持ち合わせていない。

ただ人間に母親を奪われ、人間のせいで心が傷付き、人間のせいで命を奪われる動物がいることは確かだ。

人間は自分たちの欲の為に動物たちの「愛」と「命」を奪うのだ。

その心を癒すのが人間しかいないのだとしたら、私が出来ることは?と考えた時、そういった取り組みをしている団体への協力しかないと思う。

金銭的な支援をすることは難しくても、こういった記事で現状を知った方々がSNS等で1回でも何らかのアクションを起こしてくれれば、その協力の輪は少しずつ広がるはずだ。認知度が上がるだけでも良いと思う。

 

リライロッジでの活動はこちら⇒http://www.gamerangersinternational.org/home

クレジットカードでの募金はこちら⇒http://www.davidshepherd.org/help-us/donate/

たった1回の協力でも十分に価値がある。その「1回」をする人が増えればいい。

たった1回の協力でも十分に価値がある。その「1回」をする人が増えればいい。

冒頭で紹介した「己の欲を満たす為だけにライオンを殺したアメリカ人歯科医」はSNS上で大批判を浴び、その批判は拡大する一方だとか。

インターネットの世界は怖くもあり、こういう時は頼もしくもある。

世界的世論が高まり、何か良い方向に進むことを願うばかりだ。

 

※情報は2015.7.31時点のものです

珍国の女王

  • 【珍国→珍しい国→日常ではあまり耳にすることのない国】

    縁あって100ヶ国以上の国や地域を訪問させて頂いております。 なぜ、自分で女王と言ってるかというと、西ヨーロッパ諸国を訪問した時に 立て続けに現地の人に、どこかの女王に似てると言われて有頂天になってるから。 どこの国の女王かは不明だけど。 特技は、どんな地域にでも雨を降らせて、虹を架けること。 究極の雨女です!

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